一時出家の話 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

タイを始めとする、いくつかのテーラワーダ(上座部)仏教国には、一時出家制度という慣習がある。仏教徒の国民男子が、一生に一度は一時的に出家して、短期間、僧院生活を送るという風習だ。

スリランカのように、こうした習慣がないテーラワーダ仏教国もあるし、また期間も一週間前後の場合や、安居期間の3ヶ月まるまるの場合もある。また、一時出家のつもりが、気が付けばもう何十年も比丘(僧侶)のままでいる、というお坊さんも珍しくない。

近頃は、外国人の一時出家も以前に比べて格段に増えて来たが、これは仏教、特にテーラワーダ仏教に対する関心の高まりと、インターネットを始めとする情報量の増加が、相まっての結果かも知れない。

現在も日本人テーラワーダ比丘として大活躍のプラユキ・ナラテボー師は、1980年代に、タイの大学に留学中、一時出家のつもりで得度されて、以来、そのまま修行を続けてタイ人やタイ人以外の日本人を含む外国人に法を説き続けておられる方だ。

比べさせて頂くのは、甚だ僭越ながら、私の場合は、日本のお坊さんでありながら、留学僧育英会というものを通してタイに派遣して頂く形で、テーラワーダ僧として得度し直して、修行させて頂いたのだが、やはりこれもある種の一時出家だ。

何でこんなことを考えているのかと言うと、先日、ご連絡を頂いた「タイ佛教修学記」というブログの管理者の方が、自力でルートを見つけてタイで一時出家し、現在は還俗して日本にいながら、インターネットを通じて情報を発信されている方だったからだ。

育英会を通して修行させて頂いても、海外における初めての、一人きりでの僧院生活は分からないことばかりだったのに、ご自身で道を開拓された皆さん方は、本当にすごいなと思う。

そして、その方もブログでも紹介されているのだが、プッタタート師の著作を英語版から翻訳されている三橋ヴィプラティッサ比丘と同様に、同じくプッタタート財団の許可を得て、インターネットでタイ語版からプッタタート比丘の著作を翻訳紹介されている方のホームページがあって、この機会にそちらも読み直させて頂いたら、Q&Aの欄に、「タイで出家したいのですが、どうすれば良いですか?」という質疑応答があるのに気付いた。

プッタタート師の考えに沿って、仏教の修行にとって、出家すべき必然性はない、出家は修行の必須条件ではないと答えておられる、その内容が、その論旨が、誠に誠に、その通りだと思う。

そして、しかしながら、テーラワーダ仏教における、タイ人、日本人を含む、全ての一時出家体験者にとって、その体験は修行を進展させる、かけがえのない良き原因・法縁であると、なおかつ思ったので、この一文を書かせて頂くことにした。




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