乱歩と生暖かい曇り空 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

日本では冬でも暖かい日があるが、心なしかそんな日は、人出も多く、いろんな意味で人間の衝突も多い気がするから、やっぱり気候というものは、知らず知らずの内に、人間に影響を与えているのだと思う。
 
さて、江戸川乱歩の小説に、「オドロオドロとした生暖かい曇り空」みたいな表現が多いなと思って、ちょっと探してみた。
 
「恐ろしき錯誤」…「夏の空は」「ドンヨリと曇っていた」
 
「白昼夢」…「晩春の生暖かい風がオドロオドロと」「むし暑い日の午後であった」
 
「百面相役者」…「いやにドロンと曇った春先の」
 
「鏡地獄」…「いやにドロンと曇った日で」
 
「陰獣」…「青空が夕立雲で一ぱいになって、耳の底でドロンドロンと太鼓の音みたいなものが鳴り出す…」
 
「押絵と旅する男」…「いつともしれぬ、ある暖かい薄曇った日のことである」

「透明怪人」…「空はドンヨリくもって、春のはじめにしては、いやにあたたかい日でした。 
 
こうやって見ると、上記の作品は、多くが「変格」と呼ばれた怪奇幻想味の強い作品ばかりだから、やっぱり気候と人間の心理や行動に、関係があればこその描写だと思う。
 
乱歩の作品中、もっと他にもこうした表現があるかも知れないが、とりあえず、ざっと見たところ、これ以上は探せなかった。「江戸川乱歩キーワード辞典」(東京書籍)には、「曇天」とか「生暖かい」といった項目があるのだろうか? 今度、どこかの本屋か図書館で調べてみよう。
 
 
 
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