インドの菩提樹 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

日本のお寺で菩提樹を植えている所があるが、どうもインドで見る菩提樹と違うと思っていたら、先日、読んだ「定本 インド花綴り」(木犀社)という本に、日本で菩提樹と呼ばれている木は、インドの菩提樹とは全く違うシナノキ科という科の植物なのだということが書いてあった。

お経に出て来るインド原産の植物が、中国や日本に存在しない場合、自国にある別の品種を比定するということは、よくあることだが、こちらが植物に関する知識がないこともあって、結構、これがややこしい。

若い頃、役僧をしていたお寺に日本語を話すドイツ人の方がお参りに来られて、何かの話で私が、「菩提樹って分かりますか?」と聞いた時のことだ。その方が、もちろんですと答えたので、隣にいた別のお坊さんに、当たり前だろう、ドイツと言えばリンデンバウムだ、シューベルトの曲にあるじゃないかと言われたことがある。

いくら流暢な日本語を話す外国人だと言っても、「ぼだいじゅ」という日本語が分かるのかなと思って尋ねたのだが、私は今だに菩提樹と聞くと、この出来事を思い出す。ちなみに、「定本 インド花綴り」によれば、ドイツのリンデンバウムもシナノキ科で、インド菩提樹とは関係ないのだそうだ。

なぜ、あの時、菩提樹の話になったのかと、これを書きながら考えてみたら、確かお寺の授与所で何種類かの数珠を置いていて、素材が菩提樹の物について質問されたからだったと思い出した。

ところで、インド菩提樹の実は数珠の珠に向いてないので、インドの土産物屋で売っている物も含めて、菩提樹として売られている数珠は、インドボダイジュの実ではなく、インドジュズノキという木の実なんだということが、やっぱり「定本 インド花綴り」に書いてあった。ああ。ややこしい。


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