ドリアン・グレイのこと | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 先日、ある人が、ご自分の昔の写真を見て、今の自分より老けている、と仰っておられるのを聞いて、「ドリアン・グレイの肖像」みたいだなと思い、読み直してみることにした。

 
 自分が年を取らず、肖像画だけが年を取るというワイルドの「ドリアン・グレイの肖像」のあらすじを、子供の時に、とても怖く思った。ところが、10代の頃、初めて本編を読んでみたら、少年読み物で読んだ怪談調の物語ではない、イギリス人らしい皮肉と逆説に満ちた文章に、全く付いて行けなかった。
 
 ところが今読むと、これが大変面白い。文章も逆説も、物語の展開も、全く飽きさせない。そう言えば、江戸川乱歩が晩年に、ミステリの行き着く究極として、形而上のトリックということを言い出し、その例としてチェスタトンの「詩人と狂人たち」を、純文学で近い味わいの物として、「ドリアン・グレイ」を挙げていたのは、こうした訳だったのかと、合点が行った。
 
 ちなみに、アメリカ初代大統領のワシントンが桜の木を切ったことを正直に白状したというエピソードに対して、イギリス人のオスカー・ワイルドは、「だからアメリカ人は駄目なんだ、アメリカに芸術が育たないのも当然だ」と、言ったんだとか。
 
 
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