カタコトの英語で、「close」と言っても、通じない。外国人は、「じゃあ、いつ open するんだ」と聞いて来る。その日の営業が終了したことと、廃業したことを、日本語では、どちらも「閉店」と言うけれど、英語で「廃業」をどう表現すべきか、隣の店屋さんのみんなが困っているというお話だった。
さて、私が初めて外国暮らしをしたのが、タイのお寺での修行時で、タイ語が満足に出来ないうちは、英語のできるお坊さんをつかまえて、分からないことを教えてもらっていたのだが、偉そうに言っても、ほんとは英語だって、大しておぼつかない訳だ。
だから、こんな時に英語では何と言うのだろう? という疑問がしばしば浮かんだので、バンコクのスクンビットの日本語書店で、高いお金を出して、講談社の和英辞典を、その当時に買った。
実地に役立つ編集ということで、日本語の例文が豊富、英語もいろんなニュアンスを含めた種々の例文、なおかつネイティブの人が聞いても分かる英語を目指したという編集方針が気に入って、数ある和英辞典の中から、その辞書に決めた。
で、今も手元にあるその辞書で、「閉店」の項を引くと、なるほど、「その日の閉店」と「廃業」と、それぞれ別に例文があり、「廃業」は、
close down
close its doors
put up its shutters
discontinue buisiness
などとある。
それでも、たとえネイティブの方からすればカタコトに聞こえても良いから、英語が話せない日本人が、簡単な単語一つで「廃業」を、外国人の相手に伝える言葉が、もっとあるはずなのでは? と思ってみたりもする。
そう言えば、日本で路線バスが「回送」の表示を出して走っている時、地域によって、その下の英語の表示が、
out of order
out of service
not in service
などと様々だが、外国人から見て、どれも過不足なく自然な英語なのかどうか、英語ネイティブではない私には分からない。
知り合いのバックパッカーの方には、アジアしか旅をしたことがないので、英語ネイティブではない方との英会話なら得意だが、西洋人とは全然しゃべれないという方もいる。
私の場合はビジネスで海外に住んでいた訳ではないから、 それほどしゃべれなくても修行さえしていれば、ある程度は事足りたので、英語も現地語も、住んでいた年数の割りには上達していない。
それでもタイに住む前、お坊さんになりたての京都での小僧修行中、外国人の参拝者をつかまえては、英語でこんな時、何て言うの? などと尋ねていた。
そう、私は「お坊さん」を英語で何と言うのかすら知らなかった。私が、日本語のできる西洋人参拝者に、「修行僧」を英語で何と言うかと聞いたら、その方は、ご丁寧に「a full time monk」と答えてくれた。
「お坊さん」ではなく、「修行僧」と聞いたから、なるべく正確にと思って下さったのかも知れない。「修行僧」なら、「monk」だけでも十分だということに私が気づくのは、もう少し後のことだ。
それでも、きっとあの時から、私のアジア修行の旅は始まっていたのだなあなどと思うと、ちょっと感慨深い気持ちになる。
※ホームページ「アジアのお坊さん」本編も是非ご覧ください!!
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