芋づる式に成道会 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

                        
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 ポーランドでカトリックの悪魔祓いに関する専門誌が創刊されたというニュースにちなんで、去年の暮れに、映画「エクソシスト」の原作であるW.P.ブラッティの「エクソシスト」について書かせて頂いたことがある。
 
 下調べと思ってインターネットでの検索中に、2012年のその頃に、「ディミター」というタイトルのブラッティの新作が創元推理文庫から出ていることを、たまたま知った。あらすじを読むと、これがすこぶる面白そうで、矢も盾もたまらず読みたくなり、購入したところ、期待に違わず、本当に面白い。
 
 世界で初めて無神国家であることを公式に謳った東欧のアルバニアを舞台に幕が開き、第二部では「神」とは切っても切れぬ関係の、至高の聖地エルサレムで、不可解な事件が続く。
 
 錯綜する謎に重層的な物語、けれど必ずしも難解ではない、息も継がせぬ物語と文章のうまさ。思想と物語とストーリーテリングが絡み合って一気に読ませる「エクソシスト」発表から40年、老境に至ったはずの作者の腕は、いささかも衰えていない。
 
 錯綜したストーリーを少しでも理解しようと、この度、3度目に読み直してみたのだが、改めて読み直すと、アルバニアもイスラエルも、私が訪れたことのない国なので、まずそこで描かれる、それぞれの国の風景や慣習が、甚だ興味深い。
 
 旧約聖書やイエス・キリストの旧跡と、複雑な現地の政治や宗教事情にも関わる現代の様々な施設や建造物とが混在しているエルサレムの町の描写を読んでいる時には、インドにおけるブッダの仏跡のことを思い出した。
 
 例えばブッダガヤにも、ブッダが悟りを開く前や、開いた後の事跡にちなんだ、様々な旧跡がある。中心となるのは、悟りを開いた時に坐禅していた場所を示す金剛宝座と、傍らに建つ菩提樹。さらに高さ52メートルの大塔を含めて、大菩提寺(マハボディ・テンプル)の境内は構成されている。
 
 その大塔から尼蓮禅河を渡った向こうにある苦行林とスジャータ村、そして遥かに見える前正覚山にも、仏伝にちなんだ仏跡がたくさんあり、以前はなかった橋が架かったお蔭で、雨期にでも気軽に河を渡れるようになったこともあって、それらの仏跡を訪れる観光客も飛躍的に増えた。日本人の方のブログに苦行井戸の写真までが映っていることも珍しくない。
 
 しかし、苦行林の跡らしき林の中にも、余り人の訪れない仏跡が点在し、朽ちかけた案内板があったりする。一度、年明けに、あの辺りを、改めて探検しに行こう。
 
 そう言えば、大乗仏教でブッダが悟りを開いた日だとされる12月8日の成道会がもうすぐだから、このことを書いてみようと、芋づる式に考えた。
 
※写真は、まだ橋が架かっていなかった頃に、尼蓮禅河を越えて前正覚山まで歩いた時の、古い写真です。
 
 
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