アジアの金剛般若経 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

                     
 
                   
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 写真は、何年か前に韓国ソウルの曹渓寺(チョゲサ)境内で見かけた紙製のハリボテ人形。お坊さんが金剛経(金剛般若経、正しくは金剛般若波羅蜜経)を読誦している姿だ。
 
 以前、インドの祗園精舎にある韓国寺に何日か泊めて頂いた時は、毎日お昼の勤行で、韓国人のお坊さんと一緒に金剛経1巻を読誦したものだ。
 
 台湾でも金剛経はお馴染みだ。お寺の授与所や書店の仏教コーナーでも、金剛経の写経用紙や解説書などを、よく見かけるし、運転手さんが運転席に小さな金剛経の経本を置いておられたりと、この経典を目にすることは多い。
 
 私は岩波文庫版「般若心経・金剛般若経」の「解題」が好きだ。
 
…この『金剛経』は空の思想を説いているにもかかわらず、その中では「空」という語を用いていないのが、般若部経典としては奇異に感ぜられるが、それは恐らくまだ「空」という術語が確立していない時代に成立したものだからであろう。…経典の形式が極めて簡素で古形を示している。…原始仏教聖典の書き出しかたと全く同じであり、大乗経典らしいところが少しもない。…清新な思想のいぶきが感ぜられる。…後代の大乗経典のようなぺダンチックないやらしさが感ぜられない。…
 
 岩波文庫の中村元氏によるあとがきには、金剛経と般若心経は、共に日本では古来から重要視され読誦されて来たとあり、確かに現代の日本でも、禅宗では重要視され、多用される経典ではあるのだが、他の宗派や一般の方にとっては、現在、他国におけるほどには馴染みがないような気がしなくもない。だから、岩波文庫に般若心経と金剛経がセットで収録されていることは、この経典を日本に広める上で、大きな意義があったのではないかと、私は思う。
 
 
 
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