※2022年1月8日推敲しました。
以前に日本のテレビ番組内で、タイ人スタッフが日本各地を紹介するタイのテレビ番組を紹介していて、ちょうど比叡山のロケの場面で、延暦寺会館かと思われる一室でタイ人レポーターたちが坐禅止観を体験し、警策(きょうさく)を受けている姿が映っていた。
その頃の拙ブログに、「日本人の坐禅体験率に比べて、タイ人の瞑想体験率は圧倒的に高いが、タイでも放映されていて人気のアニメ「一休さん」に警策は出て来ないから、警策を受ける日本式の坐禅は、タイ人にとって珍しかったに違いない」と書かせて頂いた。
ところが、2022年の初頭にアニメ「一休さん」の何話かを見直していたら、一休さんが警策を受けている回があったので、全話をチェックせずに、いい加減なことを書いてはいけないと、この度、反省した次第だ。
それはさて置き、警策とは参禅者の背中や肩を叩く坐禅用の長い木の棒のことなのだが、wikipediaに、「坐禅につきものと思われている警策だが、実際の使用は案外新しく、江戸時代くらいから」といった意味のことが書いてある。
しかし、禅宗の成立にも影響を与えた「天台小止観」にも警策のことは「禅杖」という名で出ているから(岩波文庫版だと59頁)、この道具自体が新しいということ決してあり得ない。ちなみに現在でも天台宗の坐禅止観では「警策」という言葉以外に「禅杖」という用語も使用している。
尤も近年の天台宗の坐禅止観のスタイルが、禅宗の影響を逆輸入して整えられた経緯もあって、一概に警策がもっと古くから日本で使われていたとはまだ主張できないので、これから確証を探してみたいと思っている。
おしまい。
※上記番組は2013年10月28日のテレビ東京系「未来世紀ジパング」。番組中で「マジデ ジャパン majide japan」というタイのテレビ番組を紹介していました。
※インドのブッダガヤの日本寺にも警策が用意されていますが、使用するかどうかは指導するお坊さんによって違います。
※「ホームページ本編 アジアの一休さん」もご覧ください。