左甚五郎の忘れ傘 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 子どもの時、大阪に住んでいたのだが、中学生になって、京都好きの同級生に誘われて鴨川から八坂神社や知恩院、三年坂から清水寺という定番コースを巡ったのが、遠足以外に自分の意志で京都を訪れた初めではあった。そして、そこで緑溢れるお寺の多い京都の町にすっかり魅せられたのは勿論ながら、何より印象に残ったのが、知恩院の七不思議だった。
 
 なぜだ、なぜこんな奇妙な物が世の中にあるんだろう、ああ、左甚五郎の忘れ傘。何とかしてその意味を知りたい、謎を解きたいという、いたたまれない気持ちになったのだが、私がその後、宗教に興味を持ち出した遠因は、きっとこんな所にもある。
 
 大人になって奇術師にしてミステリ作家である泡坂妻夫氏の短編集「亜愛一郎の転倒」所収の「藁の猫」という短編を読んで、私の忘れ傘に対するわだかまりは氷解したが、ネタバレになるのでここに書けないのが、とても残念。
 
 先日、知恩院の御影堂を改修するのに、甚五郎の忘れ傘を傷つけないように、傘はそのままま動かさずに工事するというニュースを読んで、そんなあれこれを思い出した。日本にも各地に由緒ある七不思議は数々あれど、私はこの知恩院の七不思議が大好きだ。
 
 
 
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