坊主川柳…耳なし芳一 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

 台湾できつい虫に咬まれた。きつい虫が居そうだと思って、虫除けスプレーを身体に振りかけていたのだが、ちょうど振りかけ忘れた所だけを咬まれたので、耳なし芳一のようだと思った途端に、昔、芳一ゆかりの赤間神宮にお参りしたことを思い出した。
 
 小泉八雲の「耳なし芳一」は、その構成、展開、怖がらせ方が、大変よくできてはいるものの、和尚は耳にだけ般若心経を書き忘れるし、亡霊も亡霊で、耳しか見えないから、耳だけ持って帰ったなんて、怖さのシチュエーションとしては絶妙ながら、どうも私は昔から、何となく間抜けな感じがしてはいた。
 
 無眼耳鼻舌身意、世界が縁起の理法によって成り立つことを説き明かす偉大な経典を全身に書いてすら、たかだか亡霊如きから、耳を守ることもできなかったなんて不自然な、と思って詠んだ川柳一句、
 
     耳なしと 説く経文を 書いたのに
 
                                   おしまい。
 
 
 
 
 
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