まず現在の普通の日本のお坊さんの生活では、酒を飲んではいけないという戒律を、守れない人の方が多いのではなかろうか。
また、五戒の内の不邪淫戒というのは、在家の人間にとっては、配偶者以外との異性関係を持ってはいけないという戒律なのだが、海外においてお坊さんというのは、不邪淫戒ではなく、不淫戒を守るべきだとされている。つまり結婚してはいけないのだから、厳密に日本のお坊さんが五戒を守るというのは、現状では結構大変だ。
さらにもう少し厳密に言うと、テーラワーダ仏教では在家の五戒にその他の5つの戒律を加えた十戒が沙弥戒と言ってお坊さんの戒律の基本であり、さらにそれを踏まえた227戒の具足戒がある。
大乗仏教ではテーラワーダとは別の条文の十戒があり、加えて250戒の具足戒や48戒の菩薩戒を守るのだが、テーラワーダ仏教の戒律でも、大乗仏教の戒律でも、お坊さんの飲酒や、結婚を含む女性関係は、全てご法度だ。
ちなみに、旧約聖書におけるモーゼの十戒にも、殺すな、盗むな、嘘をつくな、姦淫するな(配偶者以外との異性関係を持つな)という条文が含まれている。
ただ、仏教における十善戒には、不邪淫戒と不飲酒戒が含まれていないから、五戒を守るのが難しい日本のお坊さんが、改めて戒律を守ることを意識するならば、まず十善戒を取っ掛かりにするのが懸命ではないかいなと、思ってみたりもする。
さて、今回はこんな小難しい話を書きたかった訳ではない。道成寺伝説では、修行僧の安珍が清姫に言い寄られ、嘘をついて逃げたために、怒り狂った清姫が怪蛇と化した訳なのだが、たとえ戒律を守るためとは言え、嘘をついても良かったのだろうか、仏の教えを守るための、他の頓知はなかったものかというのが、かねがね私には疑問だったということを、書きたかっただけのことなんですが…。
不淫戒 守って破る 不妄語戒
おしまい。
ホームページ「アジアのお坊さん」本編
も是非ご覧ください!!
も是非ご覧ください!!
※お知らせ※
タイの高僧プッタタート比丘の著作の
三橋ヴィプラティッサ比丘による日本語訳CD、
アーナパーナサティ瞑想の解説書「観息正念」、
アーナパーナサティ瞑想の解説書「観息正念」、
並びに仏教の要諦の解説書「仏教人生読本」を入手ご希望の方は、
タイ プッタタート比丘 「仏教人生読本」「観息正念」改訂CDーR版 頒布のお知らせをご参照下さい!!
タイ プッタタート比丘 「仏教人生読本」「観息正念」改訂CDーR版 頒布のお知らせをご参照下さい!!