アジャンタは、アジャンタという名前が美しい。 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 私はアジャンタという名前が好きだ。悠久の歴史、壮大な立地を彷彿させる美しく偉大なる名称、アジャンタ。
 
 さて、これもまた、昔のお話。アジャンタとエローラの石窟を訪れた時のことだ。
 
 インドのムンバイから夜行バスに乗り、早朝にオーランガバードに着いた。
 
 まずは適当に宿を探して部屋を取り、その足でエローラ石窟へ向かった。その日は宿に戻って一泊したが、やたらと停電ばかりでシャワーが使えない。子どもみたいなボーイさんが、階段を走り回って、バケツに汲んだ水を各部屋に運んでくれた。
 
 翌日は宿をチェックアウトして、そのままアジャンタへ向かった。私は石窟よりも壁画よりも、石窟群がぐるりを囲む馬蹄形の谷川に水が湛えられている景色を見たかったのだが、訪れたのがインドで最も暑い5月だったから、それは適わなかった。ただ、酷暑のせいで、客引きや他の観光客とはほとんど出会わず、静かに参拝することができた。 
 
 そしてその後は、ジャルガオンの駅へ行き、当時、住んでいたブッダガヤの日本寺に帰るべく、ホームで列車を待ったのだが、待てど暮らせど列車は来ない。
 
 インドで鉄道の遅延は日常茶飯時、気長に待とうと思って何時間かした頃、向こう側のホームに自分が乗るはずの車体番号を付けた列車が、私の向かうガヤとは反対の、デリー方向に向いて入って来た。今からデリーにたどり着いた列車が、折り返してこのジャルガオンの駅に帰って来るのに、いったい後、何時間待つのだろうと気が遠くなった。
 
 1000年、2000年も前に、異常なほどに壮大な石窟寺院を手作業で生み出したのもインドなら、電車が遅れ、電気が止まるのも、またインド、どのインドも同様に愛おしい。
 
 
※蓮華手菩薩とされる、有名なアジャンタ石窟の壁画がありますが、「大乗仏教興起時代 インドの僧院生活」(春秋社)には、インド美術における蓮華を手にした人物の図像が、観音でも菩薩でもないことについての解説があります。詳しくは同書79頁をご参照下さい。
 
 
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