仏の顔 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 役行者(えんのぎょうじゃ)が吉野山を開く時、本尊にふさわしい仏の示現を祈念したら、まず最初に現れたのが釈迦如来。それでは末世の衆生を導くのには穏やかすぎると思った行者が祈念し直したら、次に現れたのが弥勒菩薩。 
 
 それでもまだ納得が行かない行者がさらに祈念して現れたのが、憤怒の表情も怖ろしげな蔵王権現。役行者はいたく満足し、蔵王権現は今に至るまで、吉野の金峯山寺のご本尊だ。
 
 別系統の伝承では、釈迦、弥勒の他に、さらに千手観音が現れたとするバージョンもあって、これを役行者の験力の凄さと見るべきなのかも知れないが、私からすれば、仏というものはさすがに慈悲深く、忍耐強いものだなあと思って詠んだ川柳一句、
 
行者には 仏も顔を 四度まで
                                 おしまい。
 
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