「四門出遊」の出典は? | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

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「四門出遊」というのは、愁いに沈むシッダルタ王子(出家前のブッダ)を慰めるべく、父王が王子を町へ遣ろうとするが、一番目の門から外に出たら老人が、二番目の門には病人が、三番目の門には死人が居て、王子はこの世の人々が苦しむ有様に、かえって消沈してしまう。そして王子は、最後の門の外で出家者を見て、この世の苦しみから逃れるためには、修行者となるより他に方法はないと気づいて、その時、出家を決意した、という物語。

 以前にも書いたのだが、インドのブッダガヤ日本寺に駐在中、日本人大学生の方たちに、四門出遊を原語では何と言うのですかと質問されて、調べても分からずに答えられなかったことがある。

 多分、この「四門出遊」に当たる言葉自体は、漢訳仏典のみに見えるのではないかと想像しつつも、漢訳仏典における、このエピソードの出典すら、私は知らなかった。

 さて、インターネットというのは便利なもので、調べてみたら、例えば「中央学術研究所 原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究」というサイトに、原始仏典や漢訳仏典における四門出遊に関する出典が詳しく挙げられていた。

 ただ、そこにもなおかつ、「四門出遊」という四字熟語そのものは見当たらなかったので、この熟語を誰が使い始めたのかは、まだ私には分からないままだ。

 とりあえず、今、我々が世間のいろんな有様を見て、これはいかん、仏教を学ばねば、と思うように、ブッダも世間に出てみたら、こらあかん、出家しよ、と思ったのであろうことは、とても実感を持って理解できる。

 ちなみに、添付した写真は四門出遊を描いたネパールの絵葉書。老人、病人、死者、修行者がみんな一方向を向いている描写が、ちょっと珍しい。




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