グリム童話のルンペルシュティルツヒェンの話は、俺の名前を言い当てたら、約束を反古にしてやろうと言った小人のルンペルシュティルツヒェンが、自分の寝ぐらで、おいらの名前はルンペルシュティルツヒェンと鼻歌を歌っているのを、うっかり聞かれて身を滅ぼすという話です。
世界各地に類話がありますが、人類学的には、名前というものには呪力があるので、名を知られると人は呪力を失うというのが、この話のテーマだとされています。
けれど私は、この話のポイントは別にあると思います。例えば名前に関して言えば、あなたが本名を隠して職場で働いているとしましょう。楽しい会話の中で、うっかりと何かの話にちなんで、自分の本名を洩らしてしまうことが、ないとも限りません。
小人のルンペルシュティルツヒェンは、もう計画が9割方、成功したと思って、つい調子に乗って、口を滑らしたのです。そう、この話のテーマは、「人は調子に乗ると、いらんことをペラペラしゃべる」です。
そう言えば、主人公の男も、つい調子に乗って王様に余計なことを言ったが為に、自分の娘が小人と怖ろしい約束をする羽目になったのではありませんでしたか?
おしまい。
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