大雨もさほどの量でなくて良かったとは言うものの、葛川の夏安居を間近に控えた新行さんたちの百日回峰行の道中は、随分ぬかるんでもいたことでしょう。千日回峰行者光永圓道大阿闍梨の修する護摩に今日、随喜して、不動経一巻を読誦する、ただお不動さんの験力を書き連ねた効能書きとは似て非なるこのお経に、ちゃんと密教の修行も仏教の根本も説いてある、その仏教の要諦を形に表して、百日や千日の回峰行があることを、霧雨に包まれた人と出会わぬ比叡山無動寺の明王堂で、阿闍梨さんの白衣の裾を拝しつつ、有難く噛みしめたことではありました。