インドの鶏足山 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

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 インドのブッダガヤにある日本寺に駐在していた当時、ガヤ近郊の前正覚山(ぜんしょうがくざん)、ラ-ジギルの霊鷲山(りょうじゅせん)や、手塚治虫の「ブッダ」にも出てくる象頭山(ぞうずせん。ガヤ・シーサー)を始め、コレシュリやマンガル・ゴウリといった、ガヤ近郊の仏跡や、ヒンドゥー聖地の山々に登るのが好きだった。

 

 1999年のことだから、ずいぶん古い話だ。ブッダの直弟子・ 摩訶迦葉(まかかしょう)が入定したと言われる、鶏足山(けいそくざん。グルパ・ギリ)を参拝したことがある。

 

 ガヤからおよそ40キロメートル、日本寺のインド人スタッフたちと共に、車で出かけて麓から歩いて登った。摩訶迦葉は56億7千万年の未来に、弥勒菩薩がこの世に出現する日まで、この山でブッダの遺品を預かって待っているという伝説があるが、韓国の通度寺(トンドサ)にある摩訶迦葉の奉鉢塔は、この伝説にちなんだものだ。

 

 ところでインド専門のトラベルサライという大阪の旅行会社にはブッダガヤから鶏足山へ行く日帰りツアーがあるそうなのだが、何ともマニアックなオプショナル・ツアーのチョイスだと思う。

 

 星野之宣氏の「宗像教授異考録」の中にも、「大天竺鶏足記」という漫画があって、インドの鶏足山を舞台にしている。摩訶迦葉も出て来たりするのだが、これもなぜわざわざ著者が鶏足山を思いついたのだろうかと思う程に、特殊な舞台設定だ。

 

 余談ながら、大本教の出口王仁三郎が自身を弥勒菩薩になぞらえるのにあたって影響を受けた神道霊学者の大石凝真須美(おおいしごりますみ)が著作の中で、鶏足山の出て来る弥勒菩薩下生経に触れているので、中にはそちら方面から鶏足山の名を知った人もいるのかも…と思ったのだが、そこまでマニアックな人は、おらんかな?


 

※2009年9月9日投稿分の改稿です。