仏教経済学とベーシック・インカム | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

 三橋ヴィプラティッサ比丘からお便りがあって、「ベーシック・インカムという経済政策について、貴兄の考えをお聞かせ願いたい」とのことでした。以下がお返事させて頂いた、私の手紙の抜粋です。

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ご無沙汰致しております。

人心の荒廃は目に余るばかり、天変地異が相次いで、経済の不況、社会の逼塞もいや増す中で、もう少し、人間の努力の範囲内で、状況を打破できないものかと、思いたくなるのも道理です。

しかし、やはり仏教徒としては、人間一人一人の心の改革が、社会全体の変化にも繋がるという視点を忘れたくないものだと、つくづく考えます。

先日のブータン国王の来日に当たっては、仏教に基づいたブータンの国是、「国民総幸福」もかなり有名にはなりましたが、少欲知足を根本に据えた、E.F.シューマッハーの仏教経済学も、私にはなかなかに魅力的です。

ベーシック・インカムが、もしも実現可能であるならば、それはそれでごく自然な形で世の中全体を幸いに導く、大きな可能性を秘めているとは思いますが、まずはそれを執り行う為政者も、それを受け入れる社会も、大前提として縁起と空を了解の上、慈悲と無執着をベースにした生活を、心に思い描いているならば、きっと世直しは大筋、前へ向かって進んで行くのではありますまいか。

仏法があまねくこの世に広まることが、世の中全体を良くすることだ、という考えは、決して理想主義者のきれいごとではなく、歴然たる真理だと考えます。仏法をベースとしない限り、いかなる人の世の素晴らしい思想による社会機構の改革手段も、100%成功はしないでしょう。

人間社会の政治も経済も全て包含した「世界」の成り立ちを、仏法は解き明かしてくれていますから、まず我ら仏教徒は、より多くの人に仏法を広めることが急務であり、私たちのプッタタート比丘CD頒布の活動も、その一翼を担う重要な作業だと、僭越ながら私は信じてお手伝いさせて頂いている次第です。

現在手がけておられるプッタタート比丘「空の法」日本語訳の完成を、心待ちに致しております。お身体ご自愛くださいませ。

                                    合掌。




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