韓国では丸刈りの人、坊主頭の人を余り見ないなと思った時に考えた。
タイではお坊さん以外にも坊主頭の人をよく見かける。兵役もあるし、一時出家を終えて、還俗したばかりの人も多いからだ。タイのお坊さんは眉毛も剃り落とす戒律なので、還俗したての方は、髪だけでなく眉毛も薄いから、すぐに見分けが付く。
京都はお寺や料亭が多いから、お坊さんや板前さんを始めとして、頭を丸めている人を、よく見かける。
インドの日本寺にいた時分、駐在同期のH師から、西洋のいくらかの地域では、丸刈りの人間はある種の政治的立場にいる人々の髪型と見なされて攻撃されることがある、だから海外布教のお坊さんなどは気をつけなければいけないそうだ、という話を聞いた。wikipedeiaの「丸刈り」の項を見る限り、今でもよく似た状況はありそうだ。
しかし、やわらかい髪質と彫りの深い顔立ちで、頭の形も良いせいか、西洋人は案外、日本人よりも坊主頭が似合うように思う。インドなどで仏教に触れた西洋人が、頭を丸刈りにしていることがあるが、女性でも西洋人の場合は、坊主頭でもさほど違和感がない。
さすがに日本人女性でにわか仏教修行のために丸刈りにする人はいない、という話をインドである日本人女性旅行者にしたら、その方は私がやってみせます! と言って、断固、丸刈りを決行した。
そうしたら、ブッダガヤのインド人たちは尼僧さんのようだねと、好意の目で迎えてくれたのだが、その後、インド各地やネパールを旅している時は、ずいぶん笑われたということだったので、悪いことをしたなあと思ったものだ。
前にも書いたが私もインド西部のジョドプールで頭を剃った直後は、道行くインド人に散々笑われた。指差して笑う、通りすがりにふざけて頭をはたく、笑わない人でも、どうしたんだ、何をされたんだ、それとも大病でも患ったかと心配してくれる。
インド人でも身内を亡くして喪に服す時には頭を丸めるが、あれはヒンドゥーだけの習慣で、ムスリムの多い西部では、ヒンドゥー教徒も仏教徒も少なくて、坊主頭は珍しかったのか。
そう言えば、日本寺のスタッフが身内を亡くして剃髪した時には、みんな、ちょっと恥ずかしそうにしていたな、などと考えながら、インド人たちの嘲笑を耐え忍んだ…のだけれど、ジョドプールのインド人たち、やっぱり、ちょっと笑いすぎ。
おしまい。
※写真は韓国の漫画「Pucca」のキャラクターの内の一人。ちなみに脇役です。