インドでは今も花びらを歓迎のしるしに振りかける慣習があるが、日本仏教における散華(さんげ)とは花びらをかたどった紙のことで、本来は法要の中でこれを撒く作法があるのだけれど、美しい形をしているので、お守りや栞のようにして、きれいな図柄入りで、日本の各お寺などで授与もされている。
私が昔、タイのお寺で修行させて頂く直前に日本で見た、「リトル・ブッダ」という映画の中に、ブッダの時代のインドで、たくさんの本物の花びらを振り撒くシーンがあったのだけれど、その後に暮らしたタイの国には、本当に色取り取りの花々が溢れていて、散華の作法も熱帯の国々では、本物の花びらを撒いていたのだろうなと思ったものだ。
それからまた後に赴任したインドのブッダガヤの日本寺では、私の駐在中に大きな納骨塔が完成して、ここは日本のお寺なので、日本式に紙の散華を撒いて落慶の供養をしようということになった。
とは言っても、インド製の色付きの紙を、インド人スタッフたちが散華の形に切り抜いてくれた物を、塔の頂上に登って相輪の背後に隠れたインド人スタッフに撒いてもらうというアナログな方式だったのだけれど、それでも参列の日本人団体や現地のインド人たちは大喜び、私はと言うと、インドの花びらが形を変えた散華がまたインドに里帰りして、インドの大地に舞い散ることよと感慨深く思い、インド製散華の花吹雪の中に、熱帯の色取り取りの本物の花びらを幻想した。
⇒私がタイで修行中に、バンコクでも「リトル・ブッダ」を上映していた話については、
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