厳に戒めるべきは、慢心です。
バナーラス、ヴァラナシ、何と呼んでも構いませんが、ご承知のように、日本ではベナレスと俗に呼ばれる、インドで最も有名なヒンドゥー教の聖地です。
そこにヴィシュワナート寺院というお寺があって、いいえ、ヒンドゥー大学であるB.H.U.構内の、誰でも参拝できる方ではなくて、これも日本ではガンジス河と呼ばれるガンガー沿いのガートに近い、迷路のような路地街の黄金寺院の話ですが、こちらはいろいろと紛争の経緯があって、路地のあちこちで警備が厳しく、基本的に異教徒は参拝できません。
時折、規制が緩んで参拝できるようになったりもするのですが、刻々と事情が変わるため、私も最新情報は知りません。
昔、インド人スタッフと一緒の時に、この人は仏教の僧侶だからと説明してもらって、参拝させて頂いたことがありました。
調子に乗って異教徒が絶対に入れないことで有名な、プリーのジャガンナート寺院を一人で訪れた時、仏教僧ですが、と言ってみたところ、当然の如く、入場禁止。
古い「地球の歩き方」に、デリーのラクシュミ・ナラヤン寺院のダラムシャラー(巡礼宿)で、キミが仏教徒の巡礼だと認めてもらえば、泊めてもらえるかも知れない、などと書いてあるのを読んで、ずいぶんあつかましいアドバイスだと思ったものですが、今思えば自分も他人の事は言えません。
そして性懲りもなく、数年前、やはりヴァラナシを訪れて、ヴィシュワナート寺院近くの路地の入り口に立つ警備員に、今度は一人で頼んでみました。困惑する警備員を自分は仏教僧だからと説き伏せて許可をもらい、いざ参拝しようとすると、迷宮のような久しぶりの路地街に迷い込んで、気が付けば、寺院にたどり着けず、河のほとりに出てしまいました。
仏教僧だから? 仏教僧ならば、まずはその慢心を戒めなければいけませんね。ごめんなさい。
おしまい。
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