アジアの鳥居 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 インドの仏跡・サンチーのストゥーパにトラナと呼ばれる門があって、これが日本の鳥居の原型だという記述を、よく目にする。

 ガイドブック類でサンチーのページを見たら大概そう書いてあると思うが、私が小僧修行をさせて頂いた日本のお寺の老僧も、寺の境内の弁天さんやお稲荷さんに、神社と同じく鳥居があるのはなぜですかと、参拝者に聞かれた時、鳥居の基はインドのサンチーのストゥーパであって、鳥居は元々、仏教の物なのだ、みたいな説明をなさっていたものだ。

 多分、偉いお坊さま方は、たいてい仏跡巡拝ツアーに出かけておられるから、ガイドさんから、そんな説明を聞いたりして、鵜呑みにしておられたのかも知れない。

 日本への仏教伝来初期に建てられた四天王寺に鳥居があるのがその証拠だ、などという人もいる。けれど、もしも鳥居が仏教と一緒に日本に入って来たのだとしたら、じゃあ、どうしてその後、お寺ではなくて、神社にだけ鳥居が残ったのだろうか?

 お寺の境内の祠に鳥居があるのは、それが神さんを祀った祠だから鳥居があるのであって、ではなぜ神さんの祠が寺院の境内にあるのかと言えば、要は仏法を守護する鎮守神として、寺院境内に神さんの祠が建てられているだけだ。

 中国の雲南地方とミャンマーの国境に暮らすアカ族の村の門が、鳥居の起源だという説の方が、サンチーのストゥーパのトラナ門が鳥居の起源だとする説よりも、よっぽど説得力があると思う。



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