アジアの三帰依文…ブッダン サラナン ガッチャーミ | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

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 昨年だったか、インドのブッダガヤ日本寺の駐在同期・H師から電話があり、今、ある会議の最中なのですが、「ブッダン サラナン ガッチャーミ・ダンマン サラナン ガッチャーミ・サンガン サラナン ガッチャーミ…」で始まる仏法僧の三宝に対する三帰依文(さんきえもん)は、パーリ語ですか? それともサンスクリット語ですか? と聞かれたので、パーリ語だと答えさせて頂いたのだが、しかし、H師、日本で何の会議をやっとるんだ?

 ブッダに対する讃嘆句、「ナモ タッサ バガワト アラハト サンマー サンブッダッサ」とセットで、テラワーダ仏教ではどんな勤行時にも必ず出て来るし、在家の仏教徒でも知っている言葉だが、単なる慣用句ではなくて、ちゃんとパーリ三蔵、いわゆる南伝大蔵経の小部経典にも納められている。

 日本では「ナモ タッサ…」とセットではなく、「ブッダン サラナン…」の三帰依文だけが有名で、これに節を付けた仏教讃歌が歌われてたりもする。ブッダガヤ日本寺の日常勤行儀にも使われてるのだが、やっぱりその前に「ナモ タッサ…」」がなくて、漢文の偈文があり、そしてパーリ語の三帰依文の後に、漢文の開経偈や般若心経を唱えることになっている。

 日本からブッダガヤに局長の先生方が来られた時に、「ブッダン サラナン…」を使うなら、「ナモ タッサ…」も使うべきだし、使わないならいっそ日本語のお経で統一すべきでは? と提案させて頂いたのだが、議論の末、残念ながら受け入れてもらえなかった思い出がある。

 とは言うものの、数年前から、現地ブッダガヤの大塔の周辺でも、妙な抑揚の「ブッダン サラナン…」のCDが大音響で流されてたりするので、日本人だけが「ナモ タッサ…」抜きという訳じゃないから、まあ、いいか。

「アジアの開経偈」
 もご覧ください!!

※写真はインドで売られてるヒンドゥーの神様シールシリーズのブッダですが、ヒンディー語などの表記に使われるデーヴァナーガリー文字で、「ブッダン サラナン ガッチャーミ」(私はブッダに帰依します)と書いてあります。