川柳とお坊さん | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 「故郷(ふるさと)へ 廻る六部は 気の弱り」という句は、小説のタイトルにもなっているのでご存知の方もあるだろう。六部とは六十六部廻国行者という巡礼行者のことなので、厳密に言えばこの川柳はお坊さんを詠んだ句ではないのだけれど、托鉢修行者の心を穿った面白い句だとは思う。

 「囲われに 地獄は無いと 実(じつ)を言い」という川柳は、御出家と関係を持ったら地獄に落ちるのでは? と恐れる愛人に対して、地獄なんて実在しないよと、お坊さんが本当のことを言ってしまったという句だ。

 「一休の まねして寺を 追い出され」という句は、仏教書などにもよく引用される、名句中の名句。

 一方で、「坐禅して 去年の借りを 思い出し」という句は、川柳としては大したひねりのない凡句だと思うが、実際問題としては坐禅経験者にはよくある体験だ。

 私は昔、海外布教のパイオニアとも言うべき著名な禅僧が、坐禅中にはしばしば素晴らしいアイデアが閃いたりするが、それに囚われていると坐禅がおろそかになるので、手元にメモを置いておき、メモしたらまた坐禅に戻ると書いておられるの読んで、坐禅してるのなら、そんな閃きも捨て去ればいいのにと、微笑ましく思ったことがある。

「アジアのお坊さん」本編」
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