インドのナスビとパコラの話 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 NHKBSの「アジアクロスロード」は、いい番組だ。インド、タイ、台湾、韓国、あちこちの国で見るアジアのテレビ番組のあの感じを思い出させてくれる、いい番組だ。

 先日、この番組でバングラデシュの「バイグニ」という料理を紹介していたが、要するにこれはバインガン(ナスビ)のパコラだ。インド料理のパコラはチャナ豆粉の天ぷらで、いろんな野菜を揚げて食べるのだが、インドやバングラデシュの皮の固いナスビも、こうして食べるとホクホクのおいしさだ。

 最近、日本の小さなお寺の境内で、簡単な自家菜園をされている所をたまたま何ヶ所か目にしたのだが、失礼ながらインドのナスビ並みに固そうな出来に見えた。農家の方の話では、市場に出すようなナスビは、栽培中、常にたっぷりの水をやらなければ、おいしくならないんだとか。

 インドのブッダガヤにある日本寺では、なるべく現地の食材だけを使って日本食を供していたものだ。インド人の典座(てんぞ)さんがナスビのしぎ焼きやナスビの煮びたしを作ってくれるので、インド料理に疲れた来客には大変喜ばれたが、やっぱりインドのナスビは和食を作るには、皮が固いし、ちょっとエグ味が強すぎる。現地の食材には現地の調理法が合ってる訳だから、インドのナスビもほんとはサブジ(カレー)やパコラにするのが、一番おいしいとは思います。
                                おしまい。