新しい環境の中で、とても緊張している人を久しぶりに見ました。自分も昔は、よく緊張したものだなあと思います。お坊さんは人前でお経を上げたり、大勢の前でお話をしたりしますから、そうも言ってはいられませんが、やっぱり人間ですから、まったく緊張しないわけではありません。緊張を和らげるには結局は慣れ、つまりは場数を踏むことが一番です。
もしも今後、緊張することがあったなら、一度落ち着いて、長い呼吸をしてみて下さい。きっと緊張が和らぎます。
そんな学校の先生が言うようなこと、言われなくても知っていると仰る方があるかも知れません。
けれど落ち着いて長い呼吸をする、ということについては、仏教的にとても深い意味があります。「呼吸」というものが、心身にとって、他の何物とも違う重要な意味を持つことは、例えばアーナパーナ・サティ瞑想を説くお経などにも書かれていますが、とりあえず長い呼吸をすることは、緊張しないように深呼吸して手のひらに人の字を書いて飲み込んで、といった話とは意味が違いますので、もしもあなたが緊張した時には、是非試してみて下さい。
仏教には呼吸に関する、何百年にも渡る深い蓄積とノウハウがありますが、それは学校の先生たちが、決して知らない種類の知識です。