靴か草鞋か地下足袋か…バックパッカーと巡礼さんの履き物について | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

 比叡山の回峰行者さんは草鞋履きだ。回峰路沿いのお堂に、履き古した草鞋が何足も吊るしてあるのを見ると、いつも頭の下がる思いがする。

 これも天台宗の話だが、10年に一度行われる、国東半島の六郷満山の峯入りが今年に行われたが、行者さんたちの足元は白地下足袋だった。地下足袋は草鞋と並んで、修行者の履き物としては定番だ。

 私は四国八十八ケ所を歩いて巡礼したことがあるのだが、托鉢姿で行脚したので、最初は草鞋を履いていたが、すぐに草鞋が駄目になるので、途中で地下足袋に切り替えた。

 比叡山の回峰行者さんたちが必ず草鞋を履いているのは、機能性よりも、伝統を崩さないことによって、修行の真の目的を見失わずに伝えていくという目的があるからだろうと思う。

 お坊さんでないお遍路さんや巡礼さんたちが靴で歩いていても不思議はないが、経験の浅い頃の私は、出会ったお坊さんが靴履きだったりすると、何だか違和感を感じたものだ。

 さて、アジアを旅するバックパッカーが靴を履いているのを見て、初心者くさいと馬鹿にする人がいるそうだ。旅慣れたバックパッカーは、やっぱり裸足にチャッパルやビーサンでないと、と思う気持ちは分からなくもない。

 ただ、私は巡礼であれ、旅であれ、いろんな状況で、いろんな履き物を履いて、いろんな所を歩いたが、その結果、思うことは、靴というのは何と人間の英知を極めた、歩きやすい、足に優しい履き物なのだろうかということだ。

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