修行道場を「林」と呼ぶのはなぜですか?…修行林、苦行林、居士林、禅定林 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

 たとえば比叡山にある、一般在家の方のための修行や研修に使われる道場の名前は居士林と言う。ちなみに居士とは在家修行者のことを指す。

 同じく天台宗のインド人僧侶、サンガラトナ・法天・マナケ師が住職を務める天台宗のインド別院は、禅定林という名前だ。

 ブッダが悟りを開く前に修行した、ブッダガヤのウルベーラ村は苦行林と呼ばれていて、ブッダガヤの大塔から尼蓮禅河を渡った対岸に今も位置している。ちなみにウルベーラとは前正覚山のことだとネットに書いている方がおられるが、二つは全く別の仏跡だ。

 ダンマパダの中村元訳である岩波文庫の「ブッダの真理のことば」93ページには「人のいない林」の原語「aranna」の注が、また107ページには「林」vanaの説明がある。ちなみに祗園精舎のことを指すジェータ林の原語は、jeta vanaだ。

 タイ語でお寺のことを指すワットという言葉の語源は、修行林を指す言葉が訛ったものだという説もあるから、だとすれば瞑想寺院のことを指すタイ語のワット・パー(森の寺)という言葉は、語源的に言えば、森林を表す2つの言葉が重複しているわけだ。
 
 インドではまばらに木の生えた林を修行の場とすることが多かったので、こうした用例がたくさんあるのだが、先日、日本で人の通らない川原を歩いていたら、まばらに木の生えた岸辺があって、まるでインドのようだなあと思った時に、いろいろと思い浮かんだことを、思いつくまま書いてみました。

「aranna」アランニャについては、



前正覚山については、


などをご覧ください!!

ちなみに最近、日本でもよく人が口にするインドの「林住期」もこれに関連しますが、繁雑になるので省略します!!