タイ バンコク シリラート病院の博物館に、トンブリ側から行った話 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 バンコクのシリラート病院に附属する、法医学博物館や解剖学博物館には、犯罪者を始めとする様々な遺体のホルマリン漬けが展示されており、日本人旅行者にも人気だと、「地球の歩き方」に書かれているが、元はと言えば、「歩き方」に載っているから、日本人がたくさんこの博物館を訪れるようになったのではないかと思う。

 さらに言えば、チャオプラヤー川を挟んだバンコク市外の対岸、トンブリ側にあるとは言え、舟で渡ればすぐに行ける、訪れやすいロケーションも、旅行者の訪問が多い原因の一つではないかと思う。

 その訪れやすい博物館に、わざわざトンブリ側から向かったことがある。もともと私は旅や町歩きや地図を見るのが好きで、目的地から真っ直ぐ元の道で帰れば早いのに、何とか別のルートで帰れないものかと地図を見て、回りくどいことを考える癖がある。

 私がテラワーダ修行をさせて頂いていたワット・パクナムというお寺はトンブリ側にあるのだが、先輩僧から、シリラートの博物館にはお坊さんもアニチャ(無常)の学習のために訪れるよと聞かされて、地図を広げ、何とかバスを乗り継いで、トンブリ側から行けないものかとか画策した。

 同じバンコク市ではあるものの、トンブリ地区には細い運河が縦横に巡り、町中なのにちょっと外れるとジャングルのような湿地帯が残っていて、開発される前のバンコクは、こんな密林に覆われていたのではないかと思うほどだ。おまけにバンコクのバスは、慣れていないと乗りこなすのがなかなかに難しい。

 そんなわけで午後に食事を取ってはいけない戒律があるので、昼前の食事をお寺で済ませ、夕方の勤行までに帰るべく、昼過ぎに寺を出たものだから、バンコクの路上はたまらなく熱い。バスを降り、人に聞き、ようやく病院にたどり着き、見学を終える頃には夕方も近かった。

 帰りは素直に運河ボートを乗り継いで帰ったら、ものの半時間もしない内にお寺にたどり着き、夕方のお勤めには十分に間に合った。




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