外国人の好きな日本食 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 前川健一氏の「アジアの路上で溜息ひとつ」(講談社文庫)の中に、「トイ少年の見る夢は」というエッセイがあって、アジアを旅する西洋人旅行者が、現地の食事が口に合わずに横暴な振る舞いをしたり、何にでもケチャップをかけたりするという話が載っているが、実際にこうした光景を目にした日本人旅行者の話を、私も何度か聞いたことがある。

 ペリーが浦賀に来た時に、贅を凝らした日本料理を供したにも関わらず、口にしたペリーが料理を吐き出したという話を、昔、読んだように思うが、残念ながら出典を覚えていない。

 さらにこれは、天台宗の広報誌に載っていた、ある翻訳ボランティアの日本人の失敗談。案内していた西洋人グループに、「親子丼」の名前の由来を説明したら、大変喜ばれたのに、一口、実際の親子丼に箸を付けた彼らが、その甘い味付けに一様に閉口したそうだ。彼らの嗜好をもう少し勉強しておけば良かった、というのだが、確かに外国人は砂糖醤油の単調な味が苦手だという話も聞くが、じゃあ、親子丼をおいしいと思う外国人は、皆無なのだろうか?

 2005年1月1日の朝日新聞には、外国人の好きな日本食について、「京都ジャーナル」の編集者である、日本在住の外国人たちが議論する、という企画があった。寿司、お好み焼き、京都のおばんざい、豆腐料理、ラーメンなどが上位で、苦手なものとしては、たこ焼きのタコ、こんにゃく、日本風の食パンなどが挙がっていた。

 私は日本にいる時に、いつも自分が外国人旅行者だったらと考えて、物事を見る癖がある。食べ物に関しても、日本の中華や洋食は外国人の口に合うのだろうかとか、素材にこだわる日本発祥の某ハンバーガーショップの味は、西洋人にも好評なのだろうかとか、西洋人と、米食文化圏のアジア人とでは、フリカケや佃煮に対する評価が違うんだろうなあとか、そんなことばっかり考えながら、暮らしている。

 外国人旅行者の皆さんが、安くておいしい日本食に出会えますように。

「アジアのお坊さん」本編
は是非ご覧ください!!