スリランカの布袋さま…月刊みんぱく2009年6月号について | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

 アジアに限らず、海外の文物に興味のある方で、大阪の万博跡地に建つ国立民族学博物館に行ったことのない人がいたら、是非一度訪ねてみると楽しいと思う。インドのリキシャ、韓国のお坊さんグッズ、モンゴルのパオ、タイのお寺の本堂を模したジオラマなど、驚かされる展示物がいっぱいだ。

 民博は人類学の研究機関としても日本最高のレベルにあるが、さて、2009年6月の「月刊みんぱく」に「スリランカの布袋さま」という記事があった。

 ここ1、2年、スリランカには、タイやインドを通して中国製の布袋像がたくさん入って来ているそうだ。風水ブームのせいらしいが、現地の人たちは、今ひとつ何だか分かっていない様子だとのこと。記事を書いている筆者ご自身も布袋さんだという確信が持てないような口ぶりだが、そこはコラム的に上手にまとめてある。

 私も以前、タイの布袋さんについて触れたが、タイやインドで布袋像をよく見かけるのは、中国製品がみやげ物として出回っているだけだと思ったら、スコタイの博物館でスコタイ王朝時代の布袋さん像を見て驚いたことがある。布袋さんを弥勒菩薩の化身として崇拝する中華系の信仰は、意外に古く根深いのかも知れない。

 というわけで、私はスリランカで最近に布袋像が流行している現状は知らなかったけれど、記事と写真を見れば、迷うことなく、これが布袋さんであることは明らかだ。

 海外で景色を見たり、現地の人と触れ合ったりするだけでなく、人の気づかないちょっとした文物がいつも気になるあなたなら、是非、民族学博物館を訪ねてみてください。昭和ブームの中でばかり回顧されつつある万博だけれど、大阪万博の掲げた「人類の進歩と調和」というテーマは、この博物館に結晶して残ったのではないかと思うほどだ。

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