E・F・シューマッハーの仏教経済学 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

 このままでは近代文明が暗礁に乗り上げるということを1970年代に予測するのは、さして難しいことではなかったに違いない。文明の発達よりも地球環境や人間の心の問題の方が重要だということは、当時から多くの人が訴えていただろうから。

 そう思いながら1973年に出版されたドイツの経済学者シューマッハーの「スモール・イズ・ビューティフル」(講談社学術文庫)を読み進めていく内に、この本が単なる情緒ではなく、経済学を始めとした該博な知識とデータに基づいて、今日の世界不況と格差社会、文明の衝突と地球温暖化などを正確に、そして詳細に予測していたと気づくにつれ、著者の慧眼に脱帽せざるを得なくなって来る。

 さらにシューマッハーは単に警鐘を鳴らすだけでなく、解脱を妨げるのは富そのものではなく、富への執着であるとして、欲望を増長しない経済活動、仏教の八正道に基づいた経済活動のヴィジョンを提示する。
 
 正に今の今、2009年の現時点で万人に読まれるべき書物だ。

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