今日はウェーサカの祭り、ブッダの誕生日だ。
上座部仏教ではブッダが生まれたのも、悟りを開いたのも、亡くなったのも、すべてインド暦のウェーサカ月、即ち太陽暦5月の満月の日であるとされる。タイではウィサーカ・ブーチャー、インドではブッダ・ジャヤンティもしくはブッダ・プルニマなどと呼ぶ。
大乗仏教ではブッダの誕生日は4月8日とされていて、日本語では灌仏会、誕生会、仏誕会、降誕会、花まつりなど、いろんな呼び方がある。日本と台湾は新暦で祝うが、韓国や中国は旧暦で祝い、今年は太陽暦の5月12日が仏誕節だった。同じく毎年、日が変わるウェーサカ祭とは、いつも1週間程度のずれしかないから、どちらも今の暖かい時期にブッダが生まれたことを伝えているのだろう。
水野弘元は「釈尊の生涯」(春秋社)の中で、ブッダの誕生、成道、入滅が同じ日に起こったとは信じがたいと何度も述べており、特にブッダが亡くなったのは、大乗仏教が伝える旧暦の2月でなければおかしいということを考察している。おそらくブッダが生まれた時期は上座部、大乗ともに正しく伝えられ、南方仏教では後に成道、入滅も同じ日に起こったと、伝説が付会したものだろう。
三つの出来事が同時に起こったという伝説が話をややこしくしていて、北伝すなわち大乗仏教では4月8日だが、南伝すなわち上座部仏教ではウェーサカ月であると、あたかも別の日であるかのように書かれていたり、大乗仏教国の新暦、旧暦も含めて、ブッダの誕生に関してたくさんの伝承があるように感じる人もあるようだが、実は結局みな同じ日を指しているというわけだ。
ともあれブッダが生まれなければ仏教は起こらなかったわけだから、今日は大変めでたい一日だ。