ブッダ最後の旅 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

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 今日、2月15日は大乗仏教でブッダが亡くなった日とされる涅槃会だ。ブッダの生涯の他のエピソードはいろんな経典に点在している感じなのに、その死の様子だけは独立した経典になっているのを見ても、それがいかに衝撃的な出来事だったかがわかる。大乗における大般涅槃経に当たるマハパリニッパーナ経が「ブッダ最後の旅」として岩波文庫で手軽に読めるのは幸せだ。

 涅槃の地、インドのクシナガラに行ったことがある人もない人も、この経典がブッダの死のほぼ忠実な記録だと思えば感慨深いはずだ。自分の死の原因となった食物を供養したチュンダに法を説き、自分が死んだ後は自らを頼り、教えを頼りにせよとアーナンダに伝え、臨終に押しかけた男を快く迎えて最後の弟子にし、もう最後なのに質問をしようとしない弟子たちに、常によく気をつけて励めと説いた。生涯にわたり、ブッダは法を説き続けたのだ。

 ブッダガヤに来た東洋大学の男女3人が、仏教についていろいろと質問してくれたことがある。「執着するな、自我を捨てよと言いながら、自灯明、法灯明と言って、自分を頼りにせよとブッダが最後に説いたのはなぜですか」と聞かれたときに、自己が自我を管理することによってしか悟りは開けないということを、うまく説明できなかった。今、もしあの人たちがこの文章を読んでくれていたら、是非自分を頼りにし、ブッダの教えを頼りにして生きて下さいね。私もそうします。