松本零士さん原作の『銀河鉄道999』といえば
子供の頃にTVアニメを見てハマって、
その後で原作を全部読んだ記憶があります。
この映画版が公開された時はまだ小学生だったこともあって
映画館では見ずに、TVで見たと思います。
その後はTVシリーズのDVDを1枚買ったのみで
ほとんど見ることはなかったので
まさに四十年以上ぶりの映画版『銀河鉄道999 - The Galaxy Express 999 -』になりましたが、
子供のころに見た時とは比べものにならないくらい感動しました。
今回はドルビーシネマ版にブラッシュアップされた映像と音響が売りですが、
本作はやはりストーリーが素晴らしい!!!
主人公の星野鉄郎が永遠の命を得るために
機械の体をタダでくれる星を目指すというストーリーは、
子供心に深いテーマ性を感じていましたが、
50歳を過ぎて、残りの人生のカウントが始まった感覚になっている今のボクにとって
その、“永遠の命と限られた命”に向き合ったテーマはより胸に迫るものがあって、
それが まっすぐに未来しか見ていない鉄郎を通して描かれることで
何度も胸が熱くなりました。
青木望さんの音楽が素晴らしくて♫
オープニングタイトルで早くも涙腺が緩んで、
鉄郎が旅立つドンピシャなタイミングでかかる
ゴダイゴの『テイキング・オフ!』は大好きな曲なので
もう泣いてしまいました。
主題歌の『銀河鉄道999』はEXILEがカバーしてるから
若い世代の方にもけっこう馴染みがあると思うんですが、
この『テイキング・オフ!』も本当に素晴らしい曲なのでみんなに聴いて欲しいです♪
歌からインストに変わる流れもお見事♬
TVシリーズでは鉄郎のお母さんが殺されてしまうシーンが何回も回想シーンとして流れて
その度に悲しい気持ちになっていました。
あらためて観て、あまりにも不条理なこのシークエンスには悲しみと同時に怒りが沸いてきました。
いまだに無くならないどころか どんどん酷くなってる格差社会のことも頭をよぎりました。
持てる者は機械の体と永遠の命を手に入れ、
持たざる者はその機械人間に狩られることすらあるという酷い世界。
しかし、鉄郎は恵まれない環境を嘆くのではなく、
機械の体を手に入れて母親の復讐を果たすという
明確な目標を持って強く生きているのが素晴らしい。
そう、これは無限の未来が約束された少年の物語。
だからこそ 少年時代が遠い昔になって、
むしろ残りの人生の方が短くなった今観た方が
鉄郎をより眩しく感じられます。
昔は鉄郎にリアルに感情移入していたと思うんですが、
いつの間にか どちらかというとメーテルの目線になっていたのかもしれません。
そのメーテルの魅力は言わずもがなですね。
母性をも感じさせるキャラクターにはSF的設定もあるゆえ
ただの美しいキャラではなく、
なんともミステリアスなのが魅力的。
歳の差はあっても、メーテルと鉄郎のラブストーリーにもなり得ているところを
今回は特に強く感じて感動しました。
あと、印象的やったのは、
キャプテンハーロックが出てくることもあって、
「男らしさ」というものを真っすぐに描いているところです。
今の時代は「男らしい」と言うだけで男女差別うんぬん言われかねない世の中ですが、
ボクは差別ではなく、男と女は違いは絶対にあるし、
そこはいい意味で分けていいと思うんです。
「男なら負けるとわかっていても戦わなければならない時がある」
ハーロックのこの名ゼリフは昔以上に胸に響きまくりました。
あまり印象に残ってなかったエメラルダスがやたらカッコよかったのも最高やった!
‘少年の物語’ではあっても、女性の魅力的なキャラもたくさん立てている、
いや、女性のキャラクターの方が豊富なのは今観ると素晴らしいバランス感覚とも言えます。
クレアがあんなに素晴らしいキャラやったとは!!!
ラストの前に鉄郎の機械伯爵への復讐は描き、
そこで鉄郎に気づきを与えて、
本来ならラストにきてもおかしくない
本作のテーマへの答えを先に出すことによって
メーテルの正体は何か?という最大の関心事を
きっちりクライマックスに持ってくるストーリー構成の上手さ。
メーテルも 鉄郎との出会いによって大人になったのが
今回強く伝わってきたのがよかったです。
物語が紡がれたことによって‘新たに生まれた別れ’を
ラストシーンに持ってきたのも完璧。
列車の駅での別れのシーンなんて定番中の定番ですが、
宇宙に飛び立つ汽車のビジュアルが今さらながら素晴らしくて
本当に感動しました♡
あの、線路の先っぽがクルッと曲がってるのがなんとも味があるんよね^^
このラストで本当の意味での少年の成長が描かれているから、
その意味を、自分の人生経験をフラッシュバックしながら理解したら
もう涙が止まりませんでした。
♪あの人はもう 思い出だけど
君を遠くで見つめてる
メーテルの前では最後まで涙を見せなかった鉄郎は男らしかった。
♪あの人の目が うなずいていたよ
別れも愛のひとつだと
こういう涙を流すことも
大人への階段のひとつだったのかもしれません。