CLOSE ENCOUNTERS OF THE THIRD KIND (1977)
とある絵本作家さんが本作について書いてはったコラムを読んで無性に観たくなって、
いつ以来か? 記憶にないほど久しぶりに観ました^^
原題は『第三種接近遭遇』という意味で、
UFOに乗ってる宇宙人とのコンタクトを示しています。
まぁ、昭和男子ならみんな知ってるでしょうね^^
この‘ファイナル・カット版’のDVDはだいぶ前に買ったんですが、
観たの初めてかも(^^ゞ
ボクが『未知との遭遇』と最初の遭遇をしたのは80年に公開された〈特別編〉。
まだ子供で 初公開時には映画館で観れなかったので貴重なスクリーン体験になりました。
久しぶりにDVDで観て思ったのは、本作はスクリーンで観るべき映画やということです。
それくらい映像が素晴らしい。
まぁ 今はデカいTVが当たり前ですし、もちろんTVで観ても充分面白いですけどね。
オープニングのテロップで登場するスタッフが、スティーヴン・スピルバーグ監督以外は
撮影のヴィルモス・ジグモンドだけということから、
ジグモンドの扱いの大きさが分かります。
実際、本作でアカデミー賞を受賞した彼の映像は素晴らしいです。
真っ黒なオープニングタイトルから 真逆な真っ白な砂漠のシーンで始まるメリハリから見事!
砂漠から始まるっていうのも意表を突いてる。
管制塔のやりとりでUFOの存在を感じさせるジワジワしたサスペンス演出はスピルバーグの十八番!!
子供のオモチャの動きでUFOの接近を暗示させる演出も流石の上手さです。
こういう映像もいいですねー!
主人公ロイの家庭の描写もさすが。
次男坊が人形を叩き壊しているシーンが妙にリアルです^^
ロイが『ピノキオ』好きというのも、脚本も書いたスピルバーグらしい設定です。
『ジョーズ』でも記憶に残る名演を見せたリチャード・ドレイファスはドンピシャなキャスティング!
ここゾクッとしたな~!!(^^;
海洋学者のフーパー役もそうでしたが、ロイ役もドレイファス以外は考えられません!
UFOの登場シーンは今観ても素晴らしい出来映え!!
この子役ちゃんの演技が演技に見えない自然さで^^
昔は無名の子役から名演技を引き出していたスピルバーグの面目躍如。
このパトカーは今観ると突っ込み過ぎな気がしましたが(笑)
カー・アクション的な見せ場をサービスするのもスピルバーグらしいです^^
こういう絵も素晴らしいですね~!
ココは映画館で観た時かなり迫力を感じました。
このシーンなんか今観ても(どうやって撮ってるんやろ?)って思います。
インドの追加シーンはダグラス・スローカムが撮影を担当したそうなんですが、
後に同じくスピルバーグの『インディ・ジョーンズ』シリーズを任されただけにここも見事です。
『ネバーセイ・ネバーアゲイン』も印象深いですね。
地球儀で確認するところが1970年代らしくていい^^
こういう光の使い方もスピルバーグは上手いですね!
本作の大成功が『E.T.』につながったのは間違いありません。
当時は宇宙人=敵のイメージがまだ強かったから、
本作と『E.T.』で宇宙人の友好的なイメージを決定付けた
スピルバーグに宇宙人説みたいなのが流れたのも時代ですね~(笑)
この家庭内のシーンも胸に刺さります。
今さらですが、ロイの奥さんと子供たちが可哀そうやと思いました。
だって普通の作品ならこの夫婦間の問題をある程度解消して終わりそうなものですが
本作にはそれがない。
ただし、この割り切り方も本作においては成功やったと思います。
スピルバーグが描きたかったのは地球人と宇宙人のコンタクトですから、
その一点にクライマックスを絞ったのは間違いなく正解です。
昔はさほど感じなかったんですが、後半は同じものに惹かれる二人の
ほんの少しですが、ラブストーリーっぽい雰囲気も感じられたのが今回はよかったです。
ロイと同じくUFOに導かれるジリアンを演じたメリンダ・ディロンも
アカデミー賞にノミネートされたのも納得の素晴らしさです。
このテのSF作品でのオスカー・ノミネートは珍しいと思いますね。
そして本作の唯一無二な魅力に大きく貢献したのが
UFO学者を演じた、映画監督として著名なフランソワ・トリュフォー。
自身の監督作にしか出演しないというトリュフォーが肝になるキャラクターを演じたことによって
彼の演技にはいまだにフレッシュな魅力を感じます。
ロイが作った巨大なジオラマが役に立つ展開も面白い^^
デビルスタワーは実在するのでロケ映像が圧巻!
セットと組み合わせた撮影も見事です。
ジリアンのキャラクターの魅力と重要性を以前より感じて、
本作のドラマ的な面白さも増しました!
クライマックスのセットのスケールも見事!
ランス・ヘンリクセンが出てたん完璧忘れとったww セリフはこの一言のみ(^^ゞ
ほんの少しどころか、意外にラブストーリーの要素もあったかも?!(^.^)
そりゃあ怖くなってまうスタッフもおるわなw
ここからの映像は今観てもただただ圧巻!!!
『ブレードランナー』も見事やったダグラス・トランブルの
映画史に残る 永遠に色褪せないであろうSFX映像!!!!
本作は正に芸術作品の域に達していると思います!
UFOとの交信で使うメロディーは一生頭から離れないでしょうね(^^♪
名作の域に達する作品はそういう忘れられないポイントが必ずあると思います。
連れ去られていた人間たちが歳をとっていないという
タイムスリップ的な要素もあるのが面白い。雑誌の『ムー』みたいなノリでw
雑誌の廃刊が多い中で、『ムー』がいまだに刊行され続けてるんやから
みんな昔も今もこういうミステリーが好きなんよな^^
本作はUFOと宇宙人が存在していることを当たり前の事実とした上で
物語を構築しているのがいいです。
そういう意味でも
“宇宙にいるのは われわれだけではない。”というのは名コピー。
UFOが宇宙に帰るのを残念がってるような坊ちゃんを見てたら
本作の宇宙人が友好的なのは間違いないでしょう^^
政府に選ばれた人間たちには目もくれずロイを選んだ宇宙人たち。
描写がリアルなだけに少し怖さも感じますが、
ドレイファスは好奇心旺盛な男がよく似合うから、そんな怖さを感じさせないのがいい。
考えてみれば、こういうラストを迎える主人公ってそれまでの人生は不遇やったりするパターンが多い気がするけど、本作のロイには幸せな家庭があった。
だからロイが宇宙人に洗脳されているともいえるし、実際取り憑かれたようにここまで来た。
しかし、本作のロイにはそういうことを超越した純粋なものを感じたから
このラストがハッピーエンドに感じられるんやと思います。
本当はこの先も知りたいというか、この先こそまさに本当の『未知との遭遇』な気がするんですが^^
〈特別編〉で挿入したこのマザーシップの内部の映像をファイナル・カット版で削除した
スピルバーグがボクたちに伝えたいことは明白です。
あとはみんなそれぞれが想像してくれたらいい、ということでしょう。
おそらく夢見がちな少年やったスピルバーグほど想像力の凄さを知っている人はそういないでしょう。
その夢を見事に映画作品として具現化してボクたちにも夢を見続けさせてくれているから
スピルバーグはボクにとって神様みたいな人なんです。
『ジョーズ』との出会いが無ければ こうしてブログを書くこともなかったかもしれない。
ビジュアルのコンセプトも考えた、まさにスピルバーグの
想像と夢を完璧にスクリーンとボクたちの記憶に焼き付けたSF映画の金字塔。
いや、これがSFで無くなる時は確実に近づいているはず。
“WE ARE NOT ALONE”
“ボクたちは独りじゃない”―