FACE/OFF (1997)
オープニングからラストまで、ジョン・ウー監督ならではのスタイリッシュかつハードな映像が冴えまくる
アクション映画の大傑作!!
主人公二人がいかに宿敵であるかもオープニングで充分過ぎるほど伝わってくる!!
ウー監督は本作の後の『M:I Ⅱ』ではCGを多用したけど、
本作は はなからCGなど眼中にないかのようなアクション描写で迫力も最高!!
これほど 観ていて力が入る映画もそうはないから、
よほど気合いが入ってないと観れない作品。
捜査の為に、FBI捜査官と雇われテロリストの顔面を移植して入れ替えるという、
下手すればバカバカしいと失笑されそうな設定も、
ジョン・ウーの気が入りまくりの演出と、
ジョン・トラボルタ(アーチャー)とニコラス・ケイジ(トロイ)の完璧な二面演技で、
公開から二十年近く経った今でも その面白さは色褪せるどころか益々熱くなれた!!
これに匹敵するほど熱い《男同士の対決》はいまだに観たことがない。
善人と悪人の顔を入れ替える設定から〈善と悪の戦い〉みたいな捉え方をされることが多い気がするけど、
本作はそんな単純なものではなく、主人公二人の二面性に、それぞれの周りの人間も絡んでくるから
ドラマと人物関係がすごく多面的に見えてくる!!!
極悪人のトロイを‘演じてた’アーチャーが、追い詰められることによって
その行動が本物のトロイのように極悪になっていくゾクゾク感。
アーチャーに‘なりすました’トロイが権力を利用して捜査官としての生活を‘楽しみつつ’も
その本性は隠し切れない面白さ。
刑務所から強引に脱獄し、ヤクをやってラリッたアーチャーは悪者を謳歌してるようにすら見えてきて、
仕事と家庭に縛られた生活をするトロイが普通の真人間に見える瞬間が出てくる、逆転の面白さ。
互いが徐々に近づき、決戦の時を迎えた場では
お互いの怨念が真正面からぶつかり合い、そこにはもう
善とか悪とかいう概念は激しい銃撃戦とともに吹き飛ばされる。
監督のイメージが強いニック・カサベテスもいい味出してる!
銃撃戦の中で流れる♪Over The Rainbow に涙が流れてしまうのは
壮絶極まりない戦いの中で、善悪を超越した親子愛や仲間の絆を強く感じるから。
この本気の戦いの中では、もはや悪い奴らもただの悪人には見えなかった。
そこには自分が愛する者を命懸けで守りたいという熱い想いしかない。
ジーナ・ガーション姐さんも、この作品が一番熱かった気がする!
銃撃戦ばかりではなく、クライマックスにはボートチェイスを見せるアクション映画としての配分も申し分なし!
007ばりの体を張ったスタントが素晴らしい!
キチガイみたいなトロイから
顔を取り戻したアーチャーの穏やかな表情が胸にクッとくるラスト。
未見ですが 『ロリータ』でセンセーショナルなデビューを飾ったドミニク・スウェインちゃんもかわいくていい。
ジョアン・アレンは いつまでもやんちゃなイメージがあるトラボルタの奥さんにしては歳とってるように
今回は見えてしまいましたが、演技が上手い女優さんなので、彼女がいるとアクション映画のドラマ性がグッとアップしますね。
いくら‘子供には罪はない’と言っても、自分の息子を殺した憎い男の子供なんて普通は引き取れないはず。
しかし、トロイとして行動していた時に、子供には良い母親だった女からこの子の将来を託されたアーチャーは、
激しい銃撃戦の中で この子を命懸けで守りながら、
宿敵トロイの息子うんぬん関係なく、
まだ純粋なこの子供を本気で救いたいと思ったんだろう。
そんな夫の想いをすぐに受け止めるアレンの表情にも感動。
異様なまでに激しいアクション映画のエンディングで
こんなに泣いた映画は、本作しか記憶にありません。
全映画ファン必見の傑作です!!