ほとりの朔子
〈さくこ〉って読みます^^


公式ホームページやパンフレットにあった深田晃司監督の本作に対する想い―
「海辺を男の子と女の子が歩いている。ただそれだけで、スクリーンが息づき満たされるような、そんな映画を作りたい。大仰な葛藤も世界を単純に見せるエキセントリックな悪意も暴力もいらない。ただ、人が歩き、話し、誰かとすれ違っていく。そのすれ違った後に残された景色に、何か見る者の記憶に触れるような余韻を残せればと思う」
エンドクレジットに切り替わった瞬間、えっ!? ここで終わり?と思いましたが、
エンドクレジットの間や、映画館を出てからの帰り道、そしてウチに着いてからと今…
この 監督の言葉にすごく納得して、静かな余韻に浸っています。
この映画の中ではドラマチックなことはほとんど起こりません。
でも、登場人物たちの何気ない仕草や言葉がすごく自然に心に入ってきます。
日本映画って、どこか空々しく見えてしまうことがボクはあるんですが、
この作品ほどリアルな会話のシーンを邦画で観たのは初めてな気がしました。
深田監督のことは全く知りませんでしたが、
脚本も書いて、編集も自分でやっているので、この作品の驚くほどのリアルさは
間違いなく監督の手腕によるものやと思います。
リアルとは言っても、そこには映画ならではのキラメキがあるのが素晴らしい。
大学受験を控えた18歳の朔子を主人公にした、瑞々しいラブストーリー、
いや、ラブストーリ-とまでは呼べないほど、初々しい恋する感覚がリアルにスクリーンに映し出されるのが素晴らしいです。
しかも、それは ロマンチックなシーンなどではなく、
普通の会話から自然に感じられるもの。
二階堂ふみちゃんはとても可愛いのに、
‘醜いアヒルの子’的なキャラも演じられるのが凄い。
決してイケメンではない男の子を相手に片想いをする役なんて意外でしたが、
ふみちゃんが本当に懐の深い女優さんであることがよくわかりましたね!
『ヒミズ』の彼女を観た時点で思いましたが、
彼女は間違いなく今もこれから先も、日本映画界を背負って立つことができる女優さんやと思います
脇を固めるのは知らない男優さんばかりでしたが、みんな本当に素晴らしい演技でした!!
(古舘寛治さん・大竹直さん・太賀くん、おぼえとこ^^)
この映画の魅力を文章にするのは難しいです。
ボクにとっては何年かに1本の《空気感が心地よい》映画でした。
淡々とした物語なのに2時間5分という長さを感じないどころか、
(もっとこの映画を観ていたい)と思いました。
なんか、終わったのが寂しかったですね(^^ゞ
http://www.cinenouveau.com/index.html
どこも同じなシネコンとは違う、本物の映画館の雰囲気が味わえる、なんともいえない空間でした
色んな想いも相まって、
この映画館で『ほとりの朔子』と出会えたことは、
一生忘れられないものになりそうな気がします