Hi, how are you?が8/28に5thアルバム「Shy,how are you?」をリリースする事を発表。それに伴い収録曲「冷凍らいち」のPVが公開された。
(撮影に参加した出演者・スタッフ)

今回はその謎多き「冷凍らいち」のPVについてHi,how are you?の原田晃行さんにインタビューを行いました。

まずはインタビューのBGMとしてそのPVを
-そもそも、今までPV制作に積極的ではなかったように見受けられますが、何故だったのでしょう?

原田:これまでは既存の素材でVIDEOTAPEMUSICさんに編集を施してもらうことが多かったですからね。それに以前は演技的なPVがあまり好きじゃなかったですし、、結局今回も演技という感じでもないのですが。かっこつけた言い方すると「待たせてゴメン」ということでしょうか。

-昔、仲村トオルがやってたラジオ番組のタイトルですね。

原田:相変わらず仲村トオルとTHE FLYING LIZARDSは自分が何かを表現するにあたって大きな指南となっています。

-THE FLYING LIZARDSが持つRAW VIBEにはやはり惹かれますか?

原田:毎回アルバムは、マスタリングを山本アキヲさんにお願いしてて、新作もそうなんですけど、「THE FLYING LIZARDSみたいな感じで…」とリクエストさせていただきました!

-PVですが、監督はHi,how are you?の熱心なファンでもあるシバタさん。

原田:彼が映像関係の仕事をしていること、遅刻癖があるので気を使わなくていいこと、大高洋夫に憧れていることなどの理由でお願いしました!共通項も多いので話が通じやすいです。
(シバタ監督はロケ当日も遅刻し、周りをピリつかせた)

-私も「子供、ほしいね」の時の大高洋夫からは相当影響受けました。

原田:三谷幸喜演じる、うららの兄も最高に面白かったですよね。

-アルバムの中からこの曲をチョイスした理由というのは?確かにPV作るならこの曲か「ぴゅあしゃい」と思いましたが。

原田:ざっとアルバムを通して聞いた時に振り付けが勝手に浮かんできた曲が数曲あったのですが、これは特にそうでした。

-踊るというのは前提としてあったんですね。

原田:この曲は録音中にだんだんパチンコやメダルゲームのBGMのような仕上がりになっていったので、PVもCRハイハワユーな内容にできたらなと。Bメロでリーチ、サビ確変でそっからずっと大当たりが続くイメージです。

-現時点での反応はどんな感じですか?

原田:「シュール」「令和とは思えない」などのコメントは窺い知れました。PVとは関係ないのですが、アルバム収録曲に私のソロ、バレンタインカセット収録曲の再録があることへの反応も数件みられました。嬉しいです!

-「MY PLATONIC VALENTINE」は名作ですよ!あそこで今の路線の土台が出来たように思います。

原田:ありがとうございます!あの時期に作った曲は自分でも気に入っています!コードをたくさん使おうと腐心していた時期です。

-PVの反応として、設定はLFO「FREAK」、演出・構成は「ピエール瀧の体操30歳」を彷彿させるという意見もあがっています。

原田:「FREAK」かっこいいですよね!ピエール瀧に捧げたいという気持ちは強くありました。

-では、実際のところはどの辺がベースになっているのでしょう?

原田:監督に参考動画として送ったのは「らんま1/2」のOPです。

-「じゃじゃ馬にさせないで」?

原田:はい。アニメのOP的な映像というのは意識しました。あとカット数を要所要所で細かくというのも。当初はDINOSAUR JR.「JUST LIKE HEAVEN」のイメージも頭にありました。

-「JUST LIKE HEAVEN」のPVとは人形達が目撃した事柄という点で共通してますね。制服は自前で実際に学生時代着ていたやつなんですよね?

原田:そうです。ただ暑いのが終始きつかったです。
(撮影が進むにつれ、二人の関係もホットに)

-学生当時、制服の着こなしポイントとかありました?

原田:まわりで短ランが流行ってたので、僕はデカめの学ランを着ることに徹してました。

-ちょっと長いということですね。

原田:いえ。柴田恭兵っぽいやつです。

-ああ~。刑事めって事ですか。
(柴田恭兵に憧れる気持ちは今でも強くあるという)

原田:あとワイシャツの中にはT.REXもしくはELVIS COSTELLO「ARMED FORCES」のTシャツを着るというこだわりも。

-「ARMED FORCES」のジャケットってダサくないですか。

原田:ええ。だからこそのサブジェクトを同級生に感じてもらおうと。
(こんなにダサいが一応はバーニー・バブルスのデザイン)

-そう言えばコステロも初来日の時に日本の学生服着てましたね。今回、学生服というのは設定として修学旅行だからという事ですが、原田さんは修学旅行にどんな思い出があります?

原田:小学校は東京、中学も東京、高校は関西だったのですが、まず小学校のとき初めてフジテレビに行けた時は感動しました。球体展望台本当にあるんだ、、と。めちゃイケに踊らされていた10代だったので。

-私達世代が河田町フジテレビに行った時と同じですね。「ここがたけしの車庫入れの!」っていう。

原田:中学では初めてタワレコに行って感激しました。山形にはタワレコがないんです。高校んときは風呂が男女入れ替え制で、女子が入った湯船に入るというやばいトピックがあったのでみんなお湯の中を凝視していました。

-高校時代、クラスの男女仲ってどうだったんですか?

原田:悪くはなかったです!が、僕は、ぴゅあしゃいでなかなか話せなかったです!このニューアルバムはもしかしたら高校時代の黙示録とも言えるかもしれません。

-ビデオの中で特殊なヘアースタイルをしていますよね。「冷凍らいち」のアナグラムが一堂・・・

原田:ストップ!それ、触れちゃいけないやつなんです。

-なるほど。認めてしまうと集英社との間に何かが発生してしまうわけですね。了解しました。
(皆さんがSNS等で漫画の登場人物に似ていると書く分には問題ないそうです)

原田:辛いですね。

-愛情あってそのヘアースタイルにしたわけですからね。

原田:いや、そうじゃなくて。斎藤洋介さん、実は詐欺被害にあったの2度目だったんですよ。
(昨年末、詐欺被害に遭われた斎藤洋介さん)

-それは大変辛かったでしょうね。話は変りますが、WEENファンの間で秘かにHi,how are you?が話題になっているようですよ。

原田:非常に嬉しいです!自分も普段海外の音楽をよく聴くので、同じくそういう音楽を聴く方に届いているのであれば嬉しいことだなと!特にWEENはSPARKSと並んで二人組ビザール・ポップの憧れでもありますからね。

-WEENファンがHi,how are you?に何か共通する部分を感じとった一方で、Hi,how are you?を通じてWEENに初めて触れる人達もいるのではないでしょうか。

原田:そうなったら面白いですね!!WEENのあの顔ロゴってややナゴム的でもありますよね。ケラの描く絵に似てる。

-ロゴ繋りで、Hi,how are you?の新しいロゴはSILICON TEENSをモチーフにした素晴らしい出来で感激しました!どなたのアイデアなのでしょうか?
(グッズ化のリクエストが相次いでいるというニューロゴ)

原田:これは僕の考えですが、巡り巡るとMUTE RECORDS狂いのHALF SPORTS桑原さんの影響、さらに遡るなら日本にSILICON TEENSを広めた石野卓球からの遠い影響ということになるんでしょうね。ロゴを再現してくれた牛尾先生に感謝です。
(「MUSIC FOR PARTIES」の国内盤CDのライナーは石野卓球が執筆した)

-SILICON TEENSは純然としたテクノポップですが、音的にはテクノポップでは無いけどイメージとしてテクノポップ的なバンドっていますよね。初期のDEVOが顕著な例ですが。あとはビル・ネルソンのRED NOISE、時代を遡ってBRUCE HAACKなんかもそうかもしれません。最近のHi,how are you?にもそういった要素を嗅ぎとることが出来ます。

原田:なるほど、それは嬉しいです。ジョー・ミークやロバート・フリップも微妙にそのラインなのかもと思います。次作で打ち込み曲作るのもありかなとちょうど馬渕リーダーから提案を受けていたところです。打ち込み×サックス×ドゥーワップという話になっています。

-次作は実験的な内容になりそうですね。そういった試みにおいて刺激になったものは?

原田:それこそ桑原さんにもらったポップパンク×テクノポップコンピやシーメールビデオなんかは次作に大きく影響してくるかと。

-桑原さんはやはりキーパーソンですね。
(DJ中のHALF SPORTS桑原さん。TシャツはSILICON TEENS)

原田:あと京都に居た頃、洋食屋でバイトしてたんですよ。そこの常連さんで、50代くらいの女性なんですけど、ある夜その人と関係を持ちまして、京都を離れる時にストックハウゼンの「ヘリコプター弦楽四重奏曲」をプレゼントしてくれたんです。
(洋食屋でバイトしていた京都時代)

-4人の演奏者がそれぞれ4台のヘリコプターに乗って演奏するやつでしたっけ。

原田:そうです。それは、現在TANGERINE DREAMをはじめとしたジャーマンエクスペリメンタルを聴いている耳を作ってくれた気がします!

-TANGERINE DREAMは「夢でバッタリ」を作る際にインスピレーションを受けたバンドですからね。それも大きな出会いです。

原田:ババア元気かなあ?おい、ババア!これ見てたら連絡くれよな。10月に京都行くから。

-話題をPVに戻します。カットされたシーンにはどのようなのが?

原田:実際に撮ったのは人間紙相撲、生稲晃子の「麦わらでダンス」。アイデアはあったけど撮れなかったのは爆死、東京湾をバタフライ、サメとの共演などですかね。撮影日、サメの大型模型の調子が悪くて…。

-「JAWS」の伝説的なエピソードと同じですね。

原田:他には「ビートたけしの学問ノススメ」でのイッセー尾形の授業シーンや片岡鶴太郎のマイ爺さん、渡辺正行のコーラ早飲みもやりました。
(「コーラの早飲みは自信あります!ベルトが欲しかったらテキサスまで取りに来い!!」と語る原田さん)

-リーダーの役は本人の希望だと聞いています。

原田:とにかく人を殺す役を演じたかったのとリーダーは「SMスナイパー」が愛読誌だったんですよ。なのでそこもかかってます。自分は「スナイパーEVE」派ですけどね。

-なるほど。それでただの「スナイパー」ではなく「OLスナイパー」という役名だったんですか。

原田:スケジュール的に合わなくて実現しませんでしたが、実はすばらしか加藤くん以外の宮古ミーティングスの仲間にも出演オファーを出していました。

-宮古ミーティングスは明大前の居酒屋、宮古で不定期に行われる音楽談義集団。
(宮古ミーティングスのトークイベントにはSUMMERMANたけこしさんも駆け付けてくれた)

原田:配役としては、インディーインタビュアーのよこちんさんが女装爆弾魔、THE GUAYSひろしさんは忍者か侍、HALF SPORTS桑原さんはTHE JAM「SETTING SONS」の石像で。

-よこちんさんは週末の趣味を活かした役柄ですね。

原田:シバタ監督も普段から下着は上下とも女性用を着用しているそうです。

-性嗜好の複雑さと頭の良さは比例しますからね。監督の知性の高さを示すいいエピソードです。ところで、歌詞テロップを入れるか迷われたそうですが。

原田:入れた編集も試したのですが、宮古ミーティングスのメンバーの助言もあってやめました!邪魔ですよね、やっぱり。ただ歌詞テロップがあるとスクショしてスタンプに使えるという利点があるんですよ。
(CAR10「マチフェス」のPVからはこのようなスタンプも生まれた)

-お気に入りのシーンはどの辺りですか?

原田:リーダーとすばらしか加藤くんがまじわるシーンですかね。普段見る映画でも脈絡ないシーンがあるとテンションあがるので! それと後半Bメロの鉄棒前での定点ショット連発あたりでしょうか。
(すばらしか加藤さんのオフショット。手の早さにDNAの強さを感じる)

-あそこ畳み掛けてていいですよね!

原田:影武者子のスカートの中身が見えるのも裏オススメシーンです。

-主演女優の方はとても存在感がありますね。

原田:そうなんですよ!今後も出てもらおうかと思ってます。ちょっとAPHEX TWINの雰囲気あるんですよね。PV映えするツラというか。
(確かにクリス・カニンガムが好みそうな狂気顔)

-今回、シバタ監督と共同作業をしてみて色々掴めた所があると思います。

原田:バッチリ掴みました!ゴドレイ&クレームとかTHROBBING GRISTLE~PSYCHIC TV~COILのスリージーみたいに音楽やりながらPV監督やるのも楽しいかもと思い始めてます。

-スリージーは氷室京介も撮ってましたね。今後「このバンドのPVを撮りたい」というのはありますか?

原田:やっほーですね。1分くらいの曲を10本同時公開とかで作りたいです。全部危険スタントで。キーマカリーズも改名して僕に完全に委ねてくれるなら撮りたいですね。彼らは画になるので。設定はやはり刑事物ですかね。「胸キュン刑事」っぽいやつ。

-このPV、どんな人にも観てもらいたいとは思いますが、あえてこの人に観てもらいたいと特定の人物を挙げるなら?

原田:海外の方に届いたら嬉しいですね!あとは天国のワイルド・マン・フィッシャー、ラックス・インテリア、ウェンディ・O・ウィリアムズ、マイケル・ジャクソンですかね。

-最高の面々!

原田:なんせTHE OUTRAGEOUS! THE BIZARRE!THE INSANE!がコンセプトですから。

-レーベル第1弾をワイルド・マン・フィッシャーが飾ったRHINO RECORDSのスローガン!
(因みにこちらの写真は「めぞん一刻」の舞台である東久留米で撮られた)

原田:柳沢慎吾にも観てほしいな。撮影時、胸ポケットにずっと写真を忍ばせていたんで。
(「柳沢慎吾は常にハートの中にいるような存在」とのこと)

-柳沢慎吾のドタバタ感はあるかも。

原田:「オレたち」のPVへのオマージュ・カットもあるのでポニーキャニオン時代のCOBRAのメンバーにも観ていただきたい。
(当初「Shy,how are you?」のキャッチコピーは「あれだぞ ハイハワだってバカじゃないぞ」だった)

-クライマックスのCOBRA「オレたち」からダンディ坂野 meets LAUGHIN'NOSEのゲッツ・ザ・グローリーは非常に印象に残りました。

原田:メンバーをダミーに演じさせるというのも実はラフィンの「LAUGHIN'ROLL」がヒントになっているんですよ。

-チャーミーが脱退して外国人の男の子がボーカルになったというギミックがありましたね。

原田:それは設定上の元ネタですけど、映像的にも殆んどのカットに何かしら元ネタがありますので、分かった人がいたらYouTubeのコメント欄でもSNSでもどんどん書いてください。ハッシュタグは「#ハーユー」で。

-10箇所以上の正解者にはプレゼントもあげましょうよ。

原田:そうですね!う~ん…では10月から始まるレコ発ツアーに招待しますよ。楽屋や打ち上げも込みで。お住まいの都合などで来れない方にはライブ音源を送ります!
(ここで特別にヒントを。このシーンもPVのどこかに出てきます)

-そのツアータイトル「shyをとめないでBE MY BABY tour」をはじめ、今回の一連のプロジェクト、PV、楽曲全てに吉川晃司へのリスペクトを感じます。
(ハイハワユーの日、8月18日は吉川晃司の誕生日でもある)

原田:「キャンドルの瞳」でザ・ベストテンに出た時のはヤバイです。サックスソロの間、手持ちぶさただからってターザンやるのは前衛過ぎ!そんなのピエール・アンリでもクセナキスでも浮かばない。
(無事着地した時に高井麻巳子が拍手していて彼女の人柄のよさが垣間見れる)

-では最後にそんな吉川晃司で好きな曲を3つ挙げてください。

原田:「モニカ」は金字塔なんで言わずもがなとして、「ラ・ヴィアンローズ」「サヨナラは八月のララバイ」「にくまれそうなNEWフェイス」です‼️ツアー中はチョコモナカジャンボを常食し、ギターを燃やすので、皆もサングラス着用で危険な退屈を楽しんでくれ~。SWEET BABY SLEEP!



Hi,how are you?の5thアルバム「Shy,how are you?」とツアーに関する情報はこちら

thanks to 柳 宙見