職業柄、自由研究のコンクール審査などに毎年関わっていますが、その経験を踏まえて、研究の仕方やまとめ方についてお伝えします。
まず、やり方ですが、テーマを探しましょう!
「調べてみたい!」とか、「面白そうだな!」、「もっと、〇〇してみたい!」と思うネタを探しましょう。
インターネットで探してもいいですが、あくまで、自分(子どもさん)が調べてみたいコトにしましょう。
これから大事になってくる学力は、
「自分で課題を見つける力」
ですので、保護者のみなさんは、
「あれって、どうなってるんだろう?不思議だねー。」とか、
お子さんが夢中になっていることについて、
「どうしてみたいとかある?」などの問いかけをして、
お子さんが「調べてみたい!」と思うキッカケ作りをお願いします。
例→「1番よく飛ぶ紙ヒコーキはどれだ?」
「粘土で高いタワーを作ってみよう!」
「大きなクワガタを育てるには?」
「消えるボールペンの秘密?」など
じつは、このテーマの段階で、良い研究になるか、ダメな研究になるか決まってきます。
良い研究は、深く掘り下げることができます。
そうでない研究は、あまり掘り下げることができません。
インターネットで調べて、すぐに答えが見つかるようなら、やめた方がいいと思います。
(↑ここ本当に大事!)
テーマが決まれば、あとは簡単、調べる方法を考えて、実験し、予想や目的と違った結果が出たら、やり方を変えてまた実験の繰り返しをします。
先程あげたテーマの例の上3つは、簡単に答えが出ないため、
何度も実験して考えるの繰り返し
ができるテーマです。子ども達が日頃やっている遊びの中に、テーマが隠れている事が良くあります(速くしてみたいとか。強くしてみたいとか。目的が見つけやすいです。)
例えば、以前紹介した「自由研究に使えるトミカダブルリフト」などは、
低学年なら、「僕の持ってるトミカ最強決定戦!」などのテーマで、ひたすら一対一の勝負を繰り返し、順番を決めていく研究ができるし、
中学年、高学年なら、「トミカが速くなるには?」などのテーマで、同じトミカを二台用意して、条件を変えてどうすれば速くなるか調べる事ができるでしょう。
中学生や、高校生なら、「コースの傾斜がトミカのスピードに与える影響」などのテーマで、
移動距離と時間を測定して、コースの傾斜との関連を運動方程式にあてはめて考えるなどの研究ができると思います。
また、近年、野外で根性系の研究が少なくなったという声が審査に関わる先生方から聴こえてくることもあります。
「トカゲの生息数調査」とか、「町内の地層観察出来る場所探し」、「惑星の居場所を追え!」などのテーマもいいかもしれません。
実験と観察の繰り返しから、テーマを解決する考察が考えられていれば、とても良い研究といえます。
まとめ方ですが、以下の流れは出来るだけ押さえていただきたいと思います。
1、研究を始めたキッカケ。
2、研究の目的。
3、研究の方法(実験方法など)。
4、予想→実験→結果→考察。の繰り返し。
5、まとめ。
4が大事で、予想→実験→結果→考察をくり返すことで、思考が深まっていきます。例えば、「大きなクワガタを育てるには?」のテーマなら、
予想「エサをたくさんあげたら大きくなるんじゃないかな?」→
実験「同じ大きさのクワガタにエサをあげる量を変えて、毎日大きさを比べよう。」→
結果「1週間経っても変わらなかった。」→
考察「エサの量は、成長に関係ないらしい。エサの種類を変えてみよう。」→
予想「プロテイン入りのエサで大きくなると思う。」→
実験「プロテイン入りのエサとそうでないエサで、成長が変わるか調べよう。」→
結果「1週間経っても変わらなかった。」→
考察「もしかしたら、成虫の身体はもう大きくならないのかも?だとしたら、幼虫の時に大きくするしかないのかな?」→
のように、考察を重ねて、思考の深まりを作っていきましょう!大人が正解を教えてしまうと、思考の深まりを作る事が出来ません。
そしてもう一つ、実験や観察を繰り返して手に入れたデータは、見やすいグラフや表にして整理して下さい。
教師になりたての頃、「クーラーで洗濯物が乾くか調べたい。」という子がいて、
記録温度計を貸し出して、冷房運転や除湿運転でどのように温度と湿度が変化するか比べる研究を手伝ったのですが、
記録用紙のグラフをそのままレポートに貼らせてしまい、
他の審査の先生から、「いい研究してるのにもったいないね。」といわれてしまったことがあります(大変申し訳ないと今でも反省しております)。
記録温度計はこんなもの↓
一旦は、レポート用紙に手書きで書いてみることをオススメします。
その方が、どこを強調して書くかなど、伝えたいことを意識しやすくなるからです。
それでは皆さん、頑張って見て下さい!
追伸、何故、自由研究をするのか?どうやってやればいいのか?のヒントになる本を紹介しておきます。
もしよければ、ご覧下さい。こんな表紙です。↓