2023年10月5日に愛媛県松山市で開催された「ほろよいフェスタ2023」に参加しました。

 愛媛県の蔵元18社が参加し、4年ぶりの開催となったそうです。全国の日本酒イベントに参加している私ですが、ほとんどが週末開催なのですが、平日の木曜日の18時から開催されたことに驚き「そんなに人が集まるのかな?」と思っていました。当日、少し遅れて現地に入ったのですが、会場は既に満席状態!愛媛の日本酒人気も大したものでした。

 

 このイベントは、指定席で早く申し込まれた方から1番・2番・3番・・・と席が指定されていきます。申し込んだ後にわかるのですが、実は私は1番だったのです! 

 向かいの席の弁護士のカップルと隣のご夫婦は、このイベントに1番を取る人ってどん方が来るのか興味津々だったそうです。そこへ現れたのが、日本酒ピンバッジをたくさんつけた髭親父!私が席に着いたとたんに「やっぱり!」の声、よほどディープな日本酒マニアに見えたのでしょうね。(笑)その後は、たくさんの方々と乾杯し、多くの蔵元さんとご挨拶させていただきました。

 

 日本酒好きに方は、それぞれお酒のチョイスにこだわりをお持ちですが、昔、レコードやCDを買う時に「ジャケ買い」という言葉があったそうですが、ラベルでお酒を選び呑むことを「ジャケ呑み」というそうです。

 日本酒ピンバッジ倶楽部の活動を始めて、お酒のボトルラベルを見ながら、素敵なデザインだと、「あ~、これはこんなピンバッジにすると素敵だなぁ・・・。」なんて思い、そのお酒を呑んでみたくなります。

 今回の会場で最も印象に残ったのが、武田酒造さんの「媛一会」でした。ブースにおられた武田昇三杜氏にご挨拶させていただき、後日「ピンバッジも大変興味があり、また詳しい資料とか頂けないでしょうか?」とメールをいただいたのが、始まりでした。

 

 武田酒造さんは、愛媛県東部の西条市にあります。

 この地は、道前平野が広がり、北は瀬戸内海に面し、南は西日本最高峰の石鎚山(標高1,982m)を中心とする石鎚連峰を背にし、瀬戸内海地方特有の温暖な気候に恵まれています。特に石鎚山は、約1330年前に修験道の開祖である役小角が開いたとされ、多くの修験道者が修行し、長く女人禁制でした。また、信仰の拠点となる石鎚神社、前神寺、極楽寺、横峰寺などがあり、山そのものに深い畏敬の念を抱かれていたために森林は無闇な開発を逃れ、生い茂る木々は「自然のダム」としての機能を維持してきました。これにより、西条市内の広範囲にわたり地下水の自噴井「うちぬき」がみられ、その数は約3,000本といわれ、1日の自噴量は約13万㎥にも及んでいます。1985年(昭和60年)には環境庁より「名水百選」に選定され、水質の良さは折り紙付きです。

 

 創業者の武田近平氏は仲買業と萬屋(よろずや)を兼務する傍ら、自らが嗜むお酒は自らが造ろうと思い立ち、1904年(明治37年)現在の地(愛媛県西条市三芳)に創業し、1952年(昭和27年)に武田酒造株式会社に改名し、現在に至ります。

 

 武田昇三 杜氏 は、1977年生まれで、2002年3月に広島工業大学環境デザイン学科を卒業後、建設会社勤務を経て、実家である武田酒造株式会社に就職しました。

 それまで、同社の杜氏を長年勤めていたのは、四国最多の歴史と伝統を誇る西宇和郡伊方杜氏の中にあっても屈指の銘杜氏といわれた上田益男 杜氏でした。そのもとで、8年間修業し、2013年から杜氏として酒造りを始めます。

 「媛一会」は、武田酒造が2010年に販売開始し、武田杜氏自身が中心となり立ち上げた新銘柄で“愛媛”と“一期一会”に由来します。少しずつ丁寧に醸し、小槽搾りにこだわり、雑味の無いまろやかな味に仕上げたそうです。また、大学時代の知識を生かしラベルデザインも自身で手掛け、ラベルの「●」は、円をあらわし「円=ご縁」を意味しています。

 武田杜氏は、お酒造りについて自社のHPで以下のように語っています。「酒造業界も機械化・デジタル化が進んでいますが、自分の肌で感じるものが真実だと考え、手造りにこだわりながら酒造りに精進しています。味や香りはもちろん、麹の見た目や感触、米が発酵するときに出る泡が弾ける音などを五感でフルに感じながら真実を見極め、いつか自分にしか造れない“一本筋の通った日本酒”を造ることが目標です」

 また、完成し、お送りした「媛一会」の日本酒ピンバッジについてメールで感想を頂戴しました。

 「先程ワクワクしながら開封をさせて頂きビックリ致しました!かなり細部まで作って頂き、完成度の高さが半端なく満足を致しております!また、お手紙も読ませて頂き感激を致しました。弊社が日本酒ピンバッジ倶楽部としての最後の作品ということで、大変光栄に思うのと同時に少し寂しさも感じました。ですが、皆様のご厚意により作って頂きましたこの大切なピンバッジをいつもご愛飲頂いておりますお客様へとお渡しをさせて頂き、いつか日本酒ピンバッジ倶楽部の皆様の目に留めて頂けることを願っております。本当にありがとうございました!」

 

「円=ご縁」と「一会」のデザインのとっても素敵なピンバッジ、私たちの最後の応援にふさわしいものとなりました。

 

出典、参考文献・HP

愛媛県酒造組合HP

武田酒造株式会社HP

西条市観光物産協会HP

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