人間というものは、いつも、やはり、常に動物であることを知らされる。
それは、天から与えられたこの肢体を駆使して生きていると感じる時。
感謝すべきことがこの身に起きた時。
不意の授かり物があった時。
我々は、ある日天からあるものを授かった!
それは、我々は一体その物体が何であるかわからなかった。
宴の最中に郵便箱に放り込まれていた1つの不可思議な包み。
夜更けに、郵便箱から飛び出す茶封筒。
なぜこの時間に?
私がイタリアに旅立つ間際の出来事だった。
その日の宴は、オンナばっかりだった。誰も入り込めない、最高の潮時。
そこへ大きな茶封筒を手にした私が、こわばった顔で部屋の中に戻ってきた。
皆、「開けるなら一緒にいる時がいい。」
そう言って傍らで、絹のようにピンと張り詰めた空気を紡ぐ女工のように、強く見えながらも脆い私の少女の様な気持ちを皆で汲んでくれた。まるで、あぁ野麦峠。(いつの話やねん。演出しすぎ。)
私はその時、人生ひとに恨まれるようなことをしたかどうか自分に問うてみた。
これが、万が一爆発物だったとしたら、私の指・体・顔、それだけではなく、ここに居合わせた皆も吹っ飛んでしまう。
怖い。
自問自答の答えは、・・・。
や~、恨まれていたりすることは確かでしょう。生きてますから。なんかあるでしょう。
でも、根に持つ人が悪いでしょう。以上。
そんな感じで、恐る恐る封を開けると、中から出てきたのは非常に不思議なもの。
見た感じハンチング帽。
でもビニール製です。雨用???
ややこしいことは、わからないので、
とにかく被ってみた。
私たちの祖先の猿も全ては試してなんぼで、この道を切り開いてきた!
どや?どや?
恒例のどや顔です☆
猿人もこういう瞬間は、絶対にどや顔してたと思う。
かわいい~!!と皆、被りたがります。
ニューシネマパラダイスの子供のようなまばゆい笑顔です。
モニカ・ベルッチに扮する者も現れました。
もう、イタリア出発前夜にしてすっかり前夜祭です。
飛行機乗る為のリムジンバスに辿り着くまで、軽く8時間切った時点でのスナップです。
かぶり方をひとヒネリすれば、えべっさんにも早がわり!!
やっぱ、大阪です。
そこで、誰かが気付きました。
「この帽子、縦長やで~。」
宴たけなわの中、その帽子は冷静に形を確かめられることになりました。
絹糸をついばむように息を呑んで皆、見守ります。心は女工。10円女工。
「野麦峠を越えてふるさとに帰りたい。」
そんなことを思った者は一人もいなかった。あたりまえ。
「明日の飛行機まにあわへん。」
そう、頭によぎった者が若干ひとり。
なぜなら、LOFTで買った軽量スーツケースの値札も取ってない状態でカウントダウンな今。
このノリはやばいです。
あぁ無情。もう、心を無にして明日のことを考えてはならない瞬間です。
人間として生まれた以上、こんな時もあるでしょう。
晴れのち雨、雨のち晴れ。そんなこともあるでしょう。
ぼや~っと、していると、仲間のひとりが頭角を見せはじめました。
「これは、帽子ではない!」
断言し、
被ってみたものの、「こうではないか?」と工夫を凝らす。
彼女の中にみなぎる何かが、記憶の中にうごめくなにかが、
彼女の顔が自然に動きます。
帽子の形と同じ、縦長、縦長、縦長・・・。
あぁ、これだ!!
これなのだ!!
これは、帽子なんかではなく、
縦長の顔用のカバーなのではないか!!!
こういう人の為に造られた特殊カバー・雨用。
右手に持ってみえるのは、7のチカラ、猪木ボンバイエ師匠の名詩『道』が綴られたパネルです。
私たちは、確信しました。
顔用カバーであると。
素晴らしい天からの授かり物を宴の晩にいただいたのです。
音も食も何もかもに満たされていたその時に、最高のプレゼントが与えられたのです。
世にも不思議な贈り物。勿論、贈り主の名前などない。
人間というものは、いつも、やはり、常に動物であることを知らされる。
それは、天から与えられたこの肢体を駆使して生きていると感じる時。
感謝すべきことがこの身に起きた時。
不意の授かり物があった時。
なぜなら、理性を無くして騒ぐから。
コレを読んでる人からしたら、ただのアホでしかないでしょ?
ま・じ・で。
アホで賞総ナメ。
ちょっと、そこのアンタ、自分よりアホな奴がこの世に居たと安心してるでしょ?
なめんなよ~。ここに来たら、皆このレベルになりさがるから安心しなっ!
皆が去っていった後、掃除を済ませ、ひとり納得の行く時間に店を出た。
名の無い贈り主から戴いた『顔用カバー』を大事に手に持ち。
以前、私の自転車のサドルにおしりが痛いだろうと気を利かせて紙オムツを巻いてくれた者が居た。
その時も名乗ってくれる者はいなかった。
あの日の紙オムツとの思い出の郷愁に浸りながら、夜明け前私はそっと自転車のサドルに『顔カバー』をかけた。
また、あの日のように神が私を見守ってくれているように思え、心が少し潤んだ。
『顔カバー』☆フォーエバー。
注釈1:猪木ボンバイエ師匠の名詩『道』が綴られたパネル
ピンパリ店内にロマーノ・レーヴィと並んで大事に飾られている一品です。
注釈2:あの日の紙オムツとの思い出の郷愁
2011年10月14日のブログ『未知との遭遇☆』読み直す方はここをクリック!!
注釈3:『顔カバー』の謎。
以前、店のイベントにお越しくださったお客様からのプレゼントでした!!
上記のブログ『未知との遭遇☆』で爆笑してくださったそうで、サドルカバーを見つけた瞬間、私にプレゼントしようと思いつかれたそうですが、お持ちくださった当日風邪気味で店を覗かずそっと帰ろうとプレゼントをポストに入れてくれたそうです。ちなみに鉛筆もなにもなかった為、無名の贈り物となったというわけです。
Iさんありがとうございました。めっちゃ楽しませていただきました!私たちっ!!