こんな事件が起こった。


ここ半年、雑誌や食べログ経由のお客様が増えた。

有難いことである。


いちげんさん皆無で何ヶ月も過ごしてきた2年間だったので、3年目はそういったメディアを使われるお客様が来ていただけるということで、店は色々な挑戦をするきっかけや原動力を与えていただけた。

特に不景気と嘆き続けられたこの2009年は、不安と孤独で頭いっぱいだった私を色々な方面から来てくださるお客様のお蔭で、ディフェンダーでない仕事をさせてもらえた。これもどれも基礎をつくってくれたのは勿論長きに渡ってコンスタントに顔を見せてくださる常連さんのお蔭であることは言うまでもない。


そんな常連さんのルールを破壊する様なお客様も今年は別段現れることもなく、本当に平和に過ごすことができた。皆様に感謝しています。


けれども、最近ちらほら店のドアを開けて「あっ、やっっぱりいいです・・・・」と帰られる見ず知らずの方がおられます。店の雰囲気が合わなかったのでしょう。仕方ないです。

でも、そういう人に限って電話をして予約を取ってこられる方が多いのです。

まさに電話番号を知っているということはネットか本・雑誌をご覧になられて来られているのでしょう。


先日は、ドアを開けて「え~?なにこれ?」と一言残し、大笑いしながら来た方向へ帰っていく3人の女性のお客様がいらっしゃいました。

それに対して私は、引き止めることもなく店から出ることもなく「あ~そうですか~。」と思っていたのだけれど。

(だって、ガラ悪そうだし香水臭いし他の今まで楽しく飲みに来てくれてるお客様とハチ合わせしたら困るしね。)


今日来た人には切れました。

そして強気なピンコちゃまは、泣きながら文句を言いにいきました。大人気ないけれど。

だって傷ついたんですもの。非常に。


まだ開店していない時間。電話をかけてこられた。

留守電に緊急の場合用に携帯番号を吹き込んでいる。なのでまだ家にいたところを電話してこられた。

すぐ来たいとおっしゃるので、急いで店に向かった。長い長い店までの道の説明をしながら。

店の主人というものは、店に来たいと言ってくれている人の気持ちを何よりも有難いと思う。泣きじゃくる息子(犬だけど)をマンションのドアに挟まらないかと思い謝りながら閉め、泣き声を背に必死に店に向かうのである。それが当たり前である。


そして、店に着いたとたんその方は現れた。

道にも迷わず無事着いてくれたことに嬉しかった反面、何時と約束をしていた時間よりも10分早く到着され、まだ電気も付いていない店内にズカズカと入り込み、「え~ここだけ?これではあかんわ。」と一言。そして、ここに私がいることも忘れているかのように去っていった。


なんじゃそれ?


その後看板を上に上げに行ったら、まだビルの前にその人達は居たので、涙ぐみながら(怒りと悲しみで泣いていた)その人達の前に行き、言ってしまった。


「あのー、暗闇で店を一目見ただけでダメと判断して欲しくないです。今まで一生懸命仕事してきたのでそういうこと言われると凄く傷つきます。」


その人が見て来られた、あまから手帖が決して私の店の紹介の仕方を間違えていたわけではない。

写真もイメージ崩さず載せてくれている。比喩したことなども書いているとも思えない。


食べログを見て来られる方は、書き込みをしてくださったお客様が褒めちぎってくれているので主観の問題になると差異がでてくるかもしれない。写真も店内のものはない。

でもね、私生身の人間です。やっぱり初対面の人に頭ごなしにダメと言われると傷つきます。

全ての人に私の世界観をわかってもらえるとは思わないけれど、解ってもらえることを望んで仕事してます。

なぜなら、今ここでこの仕事をするということが今までの私の中で一番新しく、かつ最高のことに出会えるチャンスであることは間違いないから。格好をつけているように聞こえるかも知れないけれど、今が過去のどの瞬間よりも新しいのは確かで、過去のどの出来事よりもまだ見ぬ最高の瞬間を作り出せるチャンスを含んでいるのも本当の話であるから。


ま~、そんなスタートで切ってしまった今日の仕事ではありますが、

神様っているもんですね(‐^▽^‐)

今日きてくださったお客様は、本当に良い方ばかりで救われました。

どの人も、どの人も本当に性格の可愛い人ばかりで、営業中涙が何度も溢れそうになりました。

おまけに虫の知らせがあったのか、滅多に連絡をくれない放置主義の彼氏も営業中だったのに電話をしてきてくれました。

最後に来られたお客様は、初めての方だったのですが本当に感じよくてあまりにも店を気に入ってくださった様子でしたので、ホロリときてしまいました。


終わりよければ全てよし。


そんな言葉がありましたよね?


明日は、お母さんと久々に会って美味しいご飯を食べてきます。

こんな話わかってもくれないし、店のこと自体に家族は関心ないし嫌な話をすると悲しむので言わないけど、

私の何よりもの癒しは、ヘッドスパもいいけどやっぱりお母さんに会うことかな。