モンフォルテに住んでいた頃、仕事が早く終われば行っていた村があった。
その村はピォッツォ村と云う村でそこには、特に何もなく、本当に何もない。
私の記憶にあるその村の印象は、ただ一軒だけビール屋があったこと。地ビール屋さん。
それとなく近隣の村の若者が集まり、ビールを飲んでお喋りをする。
そのビールがまた美味しいんだな、またこれが。
オルネッラ姉さんと出かけたときは、彼女がオーナーと仲が良かったので10年ものを飲ませてもらったりした。
去年のお正月、イタリアに女友達3人で遊びに行った時、やっぱりそのビール屋に寄った。
順に集まってきた人の中に懐かしい顔ぶれがあった。
もう何時間ここにいただろう?
しゃべり疲れることもなく、時間を忘れ、閉店になり表にでてみたら絵本に出てくるような大粒の雪が降っていた。
ビール屋のあるその村一番の広場に立てられた大きなクリスマスツリーの前でその日一緒に飲んだ人達で写真を撮った。
大きな丸いボタンのような雪は、ポーズをとる私たちが笑い転げているうちに肩や頭に降り積もり記念写真に悪戯模様をつけてくれた。
キラキラのツリーに白い雪、忘れられない想い出がまたひとつこの村にできた。