17日に「皇室典範改正案」が可決し成立しました。
不満を持つ多くの国民は、天皇陛下が最終的に許可しなければいいという声がSNS上で上がっています。
少し前の前川喜平氏のX(旧Twitter)での投稿をきっかけに、「皇室典範が改正されたら、天皇陛下がその公布を拒否すればいい」という主張も話題を呼んでいます。
SNS上では賛同の声も多く見られますが、現在の日本国憲法のもとでそのような「拒否」は可能なのでしょうか。
J-CASTニュースにあった記事を引用して深堀します。
元文部科学事務次官の前川喜平氏が2026年7月11日にXで皇室典範改正について言及。
「法律の公布は天皇の権限だ」
皇室典範改正案が成立した場合、内閣が天皇に奏上し、天皇陛下が公布する流れとなっている。
前川氏は11日にXを更新し、皇室典範改正に反対するポストを引用。
その上で、「この皇室典範改正が国会を通ったら、天皇はその公布を拒否したらいい」とつづった。
さらに、「御名御璽を与えなければいいのだ。法律の公布は天皇の権限だ。この改正案に関する限り、天皇は内閣の助言と承認に従わなくてもいい」と指摘。
また、「『当事者に深く関わることを当事者抜きで決めてはいけない』という条理を根拠にすればいい」と自身の考えを述べた。
この発言には、与党を批判する立場からも批判が出ている。山口二郎・法政大教授(行政学・現代政治)は、Xで、
「高市政権、自民党の横暴を怒る気持ちはわかるが、天皇の国事行為に天皇個人の意思を持ち込めと言い出すのは、めちゃくちゃ。リベラル派といわれる人々の中には、立憲主義が分かっていない人が結構いるということか」
「日本国憲法上の天皇は、内閣の『助言と承認』を拒否する自由をもちません。『国政に関する権能を有しない』(憲法4条)ため、たとえ自身の価値観に反する法律であっても署名・公布を内閣から求められれば従うほかありません。
是非は別として、それが憲法上の天皇です」と指摘。
■天皇陛下は法律の公布を「拒否」できるのか?
結論から言うと、現在の日本国憲法のもとでは、天皇陛下が自らの意思で法律の公布を拒否することはできないとされています。
前川氏の主張には、憲法上の一歩踏み込んだ解釈が必要となりますが、一般的な憲法解釈では次の2つの高いハードル(矛盾)があります。
① 天皇は「政治的な権力」を持たない
憲法第4条には「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」と明記されています。
法律の公布(憲法第7条)は天皇の「国事行為」ですが、これは形式的・儀礼的な手続きに過ぎません。
もし天皇が自らの意志で拒否すれば、それは
政治的な権力を行使したことになり、憲法違反になってしまいます。
② 「内閣の助言と承認」は絶対である
憲法第3条により、天皇の国事行為にはすべて「内閣の助言と承認」が必要であり、その責任は内閣が負います。
前川氏は「この件に限っては従わなくていい」と主張しますが、現行憲法にはそのような例外規定は存在しません。
■なぜ賛同の声が集まるのか?
法的な難しさがあるにもかかわらず、なぜ多くの人が賛同したのでしょうか。
その背景には、現在の政治や国会の進め方に対する強い不信感があります。
皇室のあり方は、国家や国民にとって極めて重要なテーマです。
それにもかかわらず、「国民的な合意形成が不十分なまま拙速に進められた」と感じる人々にとって、前川氏の言葉は「政治の暴走を止める最後の砦」として響いたと考えられます。
最後の最後に、天皇陛下がこの法案を拒否することができたなら、どんなにスカッとするでしょう
■感情的な共感と、憲法上の原則
政治への不満から「天皇陛下にストップをかけてほしい」と願う気持ちには共感する声がある一方で、専門家からは慎重な意見が大半を占めているようです。
なぜなら、天皇に政治的な決定権(拒否権)を認めることは、戦前の「天皇が統治権を持っていた時代」の仕組みに逆戻りさせるリスクをはらんでいるからだといわれます。
今回の議論は、単なるSNSの話題にとどまらず、
「民主主義における国会のあり方」と
「憲法が定める象徴天皇制の原則」について、
私たち一人ひとりが改めて考える大切なきっかけを投げかけましたね。
続きます。
最後までお付き合いくださりありがとうございました。
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