ご自身がうつ病になったり、家族がうつ病になった経験をした人は多いと思います。
当事者にならないとわからない苦しみは、たくさんあります。
人が一生のうちにうつ病に罹患する割合は、国や地域、調査の方法によって異なりますが、一般的には約15-20%とされています。
世界保健機関 (WHO) のデータよれば、
約4人に1人が人生の中で何らかの精神障害を経験し、その中でうつ病は最も一般的なものの一つです。
米国におけるうつ病の生涯罹患率は約16.6%です。
日本では、うつ病やうつ状態の生涯罹患率は約7-10%とされています。
日本人の罹患率が低いのは、診断を受けていない人が多いからだと思われます。
ちなみに、米国の自殺率は、人口10万人あたり14.1人。
日本の自殺率は、人口10万人あたり15.3人です。
うつ病の罹患率は女性の方が男性よりも高い傾向があります。
WHOによると、女性は男性の約1.5倍の頻度でうつ病を経験します。
これはホルモンの変動、社会的・心理的な要因が影響していると考えられています。
男性は女性に比べてうつ病の罹患率は低いですが、男性はうつ病の症状を隠す傾向があり、診断されにくいこともあるといわれています。
自殺率は男性の方が多く、女性は悪化する前に助けを求める人が多いので、女性がうつ病と診断されることが多くなるということでしょうか。
うつの家族をサポート・ケアする人本人も、うつ病に罹患する可能性が低くないと思います。
精神疾患を持つ家族のケアは、非常に大きなストレスと負担を伴います。
もちろん一番辛いのは、うつ病本人ではありますが。
家族が精神疾患にかかる場合と、身体疾患にかかる場合、両方のケースで家族のケアとサポートが必要です。
どちらのケースでも、家族にはストレスと負担がかかります。
身体的疾患は症状が明確に見えることが多く、痛みや身体的な機能の低下などが目に見える形で現れます。
それに対し、精神疾患は内面的な苦痛が中心となり症状が見えにくいことが多く、理解や認識が難しい場合が多いところが難しいところですね。
精神疾患を持つ家族の苦悩を整理して挙げてみます。
◎心配と不安がつきまとい、情緒的な辛さが大きい。
家族の精神疾患が悪化することへの絶え間ない心配や不安(自殺など)があります。
症状の急変や再発に対する恐怖です。
◎継続的なサポートとケアにより、感情的に疲れ果てることが多い。
大切な人が苦しむのを見守ることの辛さもあります。
◎精神疾患のある家族をサポートする人は孤独感を感じやすい。
自分の辛さを理解してもらえないと感じることが多い。
社会的な孤立感や友人や他の家族からの支援の欠如など。
◎家族の回復が見えない中で、無力感や絶望感を感じる。
自分の努力が十分でないと感じることもあります。
自分がもっと良くできたのではないかという罪悪感。
自分の生活やニーズを優先することに対する罪悪感。
◎長期間のストレスが身体的な健康に影響を与える。
例えば、睡眠障害、頭痛、胃痛など。
家族のケアと自分の生活のバランスを取ることが難しく、過労や疲労が蓄積します。
◎経済的な問題も、大きなストレスになる。
治療費や薬代、カウンセリング費用などの経済的な負担が大きい。
仕事を休むことによる収入減。
専門的な介護や支援サービスの費用。
◎精神疾患に対する社会の偏見やスティグマと戦う必要がある。
◎周囲からの理解や支援の欠如を感じる。
ケアに時間を取られ、友人や社会活動から離れることが多く取り残されたと感じることがあります。
社交の機会が減少し、孤立感が増します。
◎ケアの負担が他の家族関係に緊張をもたらすことがある。
ケアの役割分担や対応方法に関する意見の相違などでトラブり、余計ストレスを感じます。
◎自己ケアの時間や機会が制限される。
◎継続的なストレスと負担により、燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥ることがある。
挙げていけば、尽きません。
精神疾患を持つ家族を支えることは非常に難しいですが、やるしかありません。
情報を集め、コミュニケーションや日常生活のサポートの工夫、医療と治療の協力、精神的なサポート、リソースの活用など、当人のための支援に尽力しようとしても、当人が受け入れず空しさ感じることも多いでしょう。
サポートする家族自身の自己ケアを怠らないことが重要だと考えます。
適切な休息やリラクゼーション、カウンセリングを受けるなど、
自分の心を守り、潰れないことが大切だと考えます。
同じ境遇の家族と交流できるサポートグループに参加することで、情報交換や感情的な支えを得ることができ、孤立感が軽減され、心の支えになるかもしれません 。
無理をせず、
「できないことはできない!迷いや後悔しない方法はない!!」、
と開き直っても良いのではないでしょうか。
適切なサポートと使えるリソースを何でも活用し、負担を軽減することを考えてください。
外部のサポートに期待し過ぎず、
効果的な問題解決技術を学び、
ストレスの源となる問題を整理して解決策を見つけるために利用するのです。
結局、本人や親身になれる周りの人間が適切に判断、選択して行動するしか解決はないと考えます。
本人は、正しい判断、選択、行動ができない状態なので、家族のサポートが大事だと考えます。
何があっても、見捨てずに寄り添ってくれる人がいることが、何より安心できるのではないでしょうか。
長期間に渡るサポートは、辛くて苦しいですよね。
精神疾患に対する治療法は近年大きく進展しています。
薬物療法や心理療法、多様な治療法も効果を上げているといわれます。
精神疾患の回復は個人差があり、完全に治る場合もあれば、症状を管理しながら生活することが目標となる場合もあります。
家族の理解と協力が、患者の回復に大きく寄与するのは間違いありません。
最期までお読みいただき、ありがとうございます。