「老いの実況中継中」の91歳樋口さんと『80歳の壁』の和田医師との対話が面白い。

 

 

 

 

89歳になった樋口恵子氏は、2度目の乳がんが見つかった時、

「わっ、なんと運が悪い。私の命もあと2~3年か」と思ったという。

 

「いつかこの世を去らねばならないというのはわかっていても、やはりその日が来るのはさびしいもの。

こればっかりは、誰もあの世までご一緒しましょうなんて言ってくれません。死は究極の孤独です。

 

ところが、死の恐怖に打ち震えていたのはほんの数日。

ふと、気づいちゃったんです。治療がうまくいって、生きながらえちゃったらどうしようって。

術後の検診でお医者様が「がんもおとなしくなっているので、ヒグチさん、おそらく当分は死なないでしょう」とおっしゃいました。10年後の生存率は79%とも。

 

え、ちょっと待って、89歳の10年後って99歳? これから医療費はかかるだろうし、いずれ仕事ができなくなったとき生活費が足りるだろうか……人生100年時代、死ぬのは怖いけど、生きるのも大変です。」

 

人は何歳になっても、もう死んでもいいという気持ちにはならないのでしょうか?

 

和田医師は、58歳の時に 末期の「すい臓がん」可能性を疑われる状況になった。

彼はかねてから、進行がんになったら延命のためにがんと闘うのではなく、がんを放置して、その代わり残された日々を充実したものにしようと決めていたという。

それが現実になるかもしれない状況になると、「どうせ死ぬんだから」と思い、あれもやっておこう、これもやっておこうと、やりたいことがたくさんわいてきたと話す。

 

「とにかく、死ぬときに後悔をしたくない。今を精一杯生きて、やりたいことをやりつくす。

これが私の覚悟でした。目の前に迫っている人生のゴールまで、全力で走り切ろうと思ったのです。

自分が死ぬことを思うと、むしろ、生きる覚悟が強くなるものですね。」と語った。

 

死を覚悟するほどの状況になったとき、さて人は何を思うのだろうか?

 

カウンセリングに来る方は、死にたい、人生を終わりにしたいと訴えることが多い。

実際に自傷行為や過量服薬を繰り返す方もいます。

 

彼らは、苦しい状況から解放されたい、疲れ切って消えてしまいたいと訴えます。

 

健康な私は、重い病気になるのは、死ぬより怖いです。

 

強い痛みに苦しむのなら、終わりにしたほうがましだと考えると思います。

 

しかし、実際に不治の病にかかったら、どんなにつらい痛みや治療にも耐え寿命を延ばしたいと願うのでしょうか?

 

自殺願望の強い人たちも、いざ不治の病にかかった時にはどんな気持ちになるのでしょう?

 

死ねて嬉しいという気持ちになりますかね?

 

今まで死にたいと思うほど苦しかったことは、何とかすることができることだったと気づく人もいるでしょうね。

 

和田医師も、実際に末期の膵臓癌に罹患して激しい痛みや死の恐怖に見舞われていたら、記事にある気持ちは同じだったでしょうか?

 

生死観は十人十色です。

しかし、誰でもお終いの時は必ず来ます。

 

最期までお読みいただきありがとうございました。