ひたちなか市外野の

こどもと大人のための教室

講師の小室典子です。

 

 

ピアノファンタジーでのイメージリクエスト、

2つ目のお題は

 

湯河原にお住まいという、

70歳を目前にした男性から。

 

好きな詩の一説を読み上げ

そのイメージを演奏してほしい、というもの。

 

詩の言葉は

残念ながら全部は覚えていないのですがm(__)m

たぶんこんな感じだったと思います。

 

「強い光の夏が去り、

僕たちは深い暗闇の中に消えていく・・

云々・・

云々・・」

 

重い感じがしました。

 

アカデミックなお題に

会場もどよめきました。

 

実は2つ目のリクエストは

植木さんのチェロと由利子さんのピアノで

アンサンブルで即興する予定でしたが

 

あまりに深い内容で

由利子さんはちょっと考えて

「私の中にイメージができているので

ピアノソロでもよいですか?」

と尋ねると

 

その方は

「演奏はピアノでもチェロでも、どちらでも」

と言うので

 

由利子さんはそれを受けて

植木さんに向かって

「冒頭だけでよいから

 今の詩のイメージをチェロで何か弾いてください」

と言いました。

 

びっくりして、うろたえる植木さんに向かって

「大丈夫!!私がそのあとを受けるので・・」

と由利子さん。

 

困った顔で立ち尽くす植木さんに

できるから!・・やってみて」

と、

さらに笑顔で励ます由利子さん()

 

やがて意を決したように、

植木さんはチェロを構えて

椅子に座り直し、

深呼吸して静かに弦に弓を動かしました。

 

チェロの低い音が

ブーン~・・と唸るように鳴り、

続いて短調のカデンツが

スルスルスルと会場内に響きわたりました。

 

とても苦悩に満ちた音でした。

 

暗闇の中で

体を丸くして抱え込んでいる人の姿が

思い浮かびました。

 

詩の、深い闇のイメージを

見事に表現していました。

 

植木さんのチェロの

最後の音が消えるとすぐに

由利子さんのピアノが

スーッと入ってきました。

 

このとき私は、

由利子さんのピアノの音が

チェロの冒頭と

もしも合わなかったら大変、と

一瞬不安になったのですが、

まったくの素人考えで、余計な心配でした(^^;)

 

さすが由利子さんです。

植木さんが弾き終えた音と寸分違わない音を

ピアノで少し長く鳴らして余韻を味わっていたかと思うと

おもむろにメロディーを弾き始めました。

 

静寂の中に不安や畏敬の気持ちを感じるような、

即興演奏でした。

 

弾き終えると由利子さんは

植木さんに向かって

「出来るじゃないですか~!

クラシックの方は

楽譜がないと弾けない、って言うんですよ」

でも、出来たでしょ?」

と言って

ニコリとしました。

 

 

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