定価387円の単行本。
これは、作家の三田誠広さんの青春時代を基盤にした作品。彼は1977年の29歳のときに芥川賞を受賞。
分野で言えば青春小説。
小説の主人公は同じ高校の同級生である女生徒とであい初恋に落ちる。主人公の通う高校は、実在する高校がモデル。成績のよくない主人公の劣等感が見事に描かれている。当時の世相を反映して彼も学生運動に深くかかわり、社会問題に発展していく。そして、登校拒否、両親との問題へと発展する。
もう、30年も前の作品だけど、現代に通じるところがある。
私がコレを読んだのは高校時代。
1年生のときクラスメイトがホームルームの時間にこの本について話し合おうと提案し、読書会を開き、話し合った。
この本、内容が難しく、提案者がほとんどしゃべっていたように覚えている。
提案者は三田さんにあこがれて進学実績の高い私立高校ではなく公立高校を選んだといっていた。
実は、三田誠広さんは高校の先輩。高校時代、文芸部だった私は、先輩から芥川賞作家がクラブの先輩にいると聞き、それが三田さんだった。私の高校時代は三田さんの小説に随分励まされた。偉大なる先輩。話す機会はないと思うけど、もしあえたなら感謝の言葉を伝えたい。
私の高校時代、三田さんの小説のままだった部室。傾いた天井の部室は新校舎になり今はない。
暗くすさんだ時代だけど、伝えたいことは同じ。
高校生とその親に読んで考えてもらいたい1冊。