原題は「Hattie Big Sky」…アメリカのYA(ヤングアダルト)作品です。

でも、そういう枠で囲ってしまうのは何だかもったいない、とても魅力的な物語です。

 

 

1917年、アイオワ州から物語は始まります。

幼くして両親を亡くしたハティは「根なし草」のように遠縁の親戚の間をたらい回しにされて育った16歳の女の子。

アイオワ州で遠い親戚のホルトおじさん、その妻のアイビーおばさんの家に身を寄せています。

時は第一世界大戦末期。

親友のチャーリーが入隊し、町にも不穏な雰囲気が流れる中、アイビーおばさんから

学校の卒業を待たずに下宿屋で働くよう命令された

そんな時にちょうど受け取った手紙。

 

会った記憶もない(赤ん坊の頃だったので)伯父、母の兄のチェスター伯父が亡くなった知らせと

その伯父からの遺言の手紙が同封されていました。

 

―伯父さんが開拓しようとしていた土地を引き継ぎ、あと1年の期間で条件を満たせば

モンタナの320エーカーの土地がすべて自分のものになるー

 

ハティはチャーリーからもらった猫「ヒゲちゃん」だけをお供に

1人モンタナの開拓地へと旅立つのでした。

 

モンタナの開拓地での厳しい暮らし、想像を絶する過酷な環境。

でも隣人たちには恵まれます。

ドイツからの移民のカールと、奥さんのペリリー、その子供たち。

男前で一匹狼的な女性、リーフィー。

チェス仲間の愉快な老人、雄鶏ジム。

みんな貧しくはあっても、ハティにも優しく手を差し伸べてくれる愛すべき人たち。

 

ハティはチャーリーとホルトおじさんにそんな日々の出来事を手紙で書き送ります。

戦地のチャーリーからも手紙が来ます。

ハティは最後の最後まで気づいてない?のかもしれませんが

チャーリーの手紙からは、ハティへの気持ちがかなりだだ漏れラブラブ(笑)

 

遠い大陸で行われている戦争はこの開拓地にも大きく影を落とし

カール一家は「敵国出身」とみなされ数々の攻撃を受けます。

そんな世間の目に負けず、忠実にカールやペリリーや子供たちへの友情を貫く

ハティのかっこいいこと、たくましいこと!

 

このお話、中高生向けのYAカテゴリーになってますが、大人でも十分楽しめる内容です。

そして深いです。

戦争が引き起こす、社会のひずみ、無駄ないさかい、罪なき人々へのいじめ、

そうした愚かな行為は現代の私たちの社会にも十分通じることだと気づかせてくれます。

 

物語終盤、とても辛い出来事が続けて起きます。

そしてハティの望んだ形ではモンタナの暮らしは完結しませんが

この1年で得たもの、それはかけがえのないものでした・・・。

 

自分の居場所がなかった少女が、自分の足で地面を踏み、そして素晴らしい友情を手にしたのでした。

最後はとてもさわやかです。

 

本のあとがきに、物語の背景になった、1862年に成立した「ホームステッド」法について書いてありました。

アメリカ西部の未開拓の土地を、特定の条件を満たしたものに無償で払い下げるというもので、

ハティはたった一人で10か月限定期間のうちに

40エーカー(東京ドーム3つ半ほどの広さですって)の土地を耕して作物を植え、480本の杭を打つ、という条件にチャレンジしたのです。

 

しかもこの物語にはモデルがいるのです!

作者さんの曾祖母(名前もハティ)だそうで、若いころにたった一人でモンタナに入植したんですって!

 

 

日本では未訳ですがこの本には「Hattie Ever After」という続編があります。

実は続きが気になって、AMAZONで入手して読み始めました(笑)

今度はハティは主に親友のペリリーに手紙を書き送っているようです。

 

ハティが新たに出会う人たち、チャーリーとの関係、彼女の新しい目標…

またそのうち感想書きますニコニコ